印象に残るストーリーの作り方

印象に残るストーリーの作り方


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「伝えたいメッセージがあるのだが、なかなかうまく伝えられない。」「たとえその場で伝わってもすぐ忘れられてしまう。もっと記憶に残る伝え方はないのか。」これは誰しもが思っていることだと思います。”Made to Stick“というタイトルのこの本はこんな問題を解決してくれる画期的な本です。過去一年読んだ本の中ではBest 3に入る本です。

スタンフォード大学ビジネススクールの組織行動(Organization Behavior)の教授と、現在コンサルタント会社の社長をしているその兄か弟(どうも英語だといつもハッキリしません)の兄弟で書いた本でこんな感じの出だしで始まります(洋書ですが日本語で書きます)。

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出張をよくする友人の友人でDaveという人がいます。彼は最近、お客との重要なミーティングに出席する為、Atlantic Cityへ出張。帰りの便までの時間が大分空いてしまった為、地元のバーにのみに行くことにしました。一杯目を飲み干したちょうどその時に魅力的な女性が彼の元にやってきて、お酒をご馳走したいといいます。大喜びのDaveはもちろんオッケーします。そして女性がグラスをお酒の入ったグラスを2つ持ってきて乾杯します。そこから彼は気を失います。。。

意識を回復した時、彼はあるホテルのバスタブに氷漬けの状態で横たわっていました。周りを見渡すと『動かないで110番しなさい』というメッセージがあります。近くにおいてあった携帯電話で110番をダイアル、事情を話すと警察はすぐに状況を飲み込んだ様子。『良く聞いてください。背中にゆっくりと手を回してみてください。チューブが出ていませんか?』

ゆっくりと背中に触れてみると確かにチューブがあります。そう伝えると『落ち着いて聞いてくださいね。腎臓が一つ取られたと思われます。最近このような手口の腎臓泥棒が多発しています。すぐに救急車をそちらに手配します動かないでいてくださいね。』
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この話はアメリカで過去15年間、最も有名な都市伝説らしいです。どうしてこの話が長い間生き残るのか?我々は毎日絶えず新しい話、ニュースや知識に触れています。しかしほとんどはすぐに忘れてしまう。この本は記憶に残って離れない(Stickする)メッセージの作りかたについて、科学的に解説した本で、例を沢山使っている為、飽きることなく一気に読むことが出来ます。

筆者がいうにはメッセージを作るとき、SUCCESsというフレームワーク(枠組み)を使うべきだといいます。いつも思うのですがアメリカ人と日本人の一番の違いがアメリカ人は何でもフレームワークを作り、それに当てはめて問題を解決しようとするのに対し、日本人は問題の解決方法それぞれ違うと考え、過去の経験から解決しようとするように感じます。余談でした。。。さてSUCCESsとは

  1. Simple
  2. Unexpected
  3. Concrete
  4. Credible
  5. Emotional
  6. Stories

のことでこれらの要素を全ていれることにより記憶に残って離れないメッセージを作ることが出来るということです。それにしてもSUCCESsとは本当によく考えますよね。さすがアメリカ人!なーんて感心している場合ではありませんが、それぞれの要素が面白い例を沢山散りばめて解説している為、全体のメッセージがStick(記憶に残って離れない)する構成になっています。これは面白かった。

ちなみに本書の日本語訳はまだ出ていないようです。いろいろとウェブで出る予定があるかどうか調べましたが見つからず。。。ひょっとして予定がないのかも。。。ということで『予定がなければ私が翻訳するよ!』と筆者にメールを書いてみました。Stanford大学のビジネススクールの教授でしたらウェブ上にメールアドレスを公開しています。翌日にはすぐ返信がきました。『すでに出版社が決まって現在急ピッチで日本語に翻訳している。でもありがとうね!』とのこと。まあベストセラーになった本だから当然と言えば当然か。。。是非英語で読んでみてくださいね!

 


Posted by Masafumi Otsuka

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