とにかく話題に喰らいつく

とにかく話題に喰らいつく


内容が前回とダブってしまうと思いますが、大切なことですのであえて今回も同じメッセージを違った切り口で書きます。正直、『英語力≠コミュニケーション力をどう伝えれば分かったもらえるか』最近こればかりを考えており、セミナーでもDiscussionテーマ・方法を変えるなど毎回違った形で試しています。

日本式コミュニケーション方法と欧米流コミュニケーション方法の決定的に違う点が今回の表題である『話題に食らいついていく』度合いです。普段我々が日本語を使って、コミュニケーションを図る際、『6-7割の理解力』で話を聞いているように感じられます。分からないところは一度は聞き返せても、二度目はなかなか聞けない。説明をする側もメッセージがきちんと伝わったか知りたいが、そんなことを聞いて理解できていなかったら恥をかかせてしまう。聞き手も途中で遮るのは失礼ではないか、場違いな質問をして恥をかきたくないと思ってしまう。このため説明する側は一気に説明をし、聞く側は黙って聞くようにします。つまり「相手に失礼があってはならない」ことが「メッセージがきちんと伝わったかどうか」より重要になっています。そもそも共通の価値観の上で話していますので6-7割の理解力で十分通じること(分からないことは後で調べることができること)がその背景にあるかもしれません。

対して欧米人は「メッセージをきちんと伝わったかどうか」をコミュニケーションの第一目標と考えます。聞き手は話し手の話を理解しないと失礼だと感じます。だから何度でも分からなくなった瞬間に聞く。説明する側も目的は自分の伝えたいメッセージを100%伝えることなので、相手がどの程度理解しているのか、どこが分からないのかをその場で知りたい。よってコミュニケーションを図る際、聞き手も相手のメッセージを引き出すという大きな責任を担っています。

こう考えると日本の対話スタイルを会って話すという文字通り『会話』、欧米の対話スタイルを双方向を連想させる『コミュニケーション』という理由がなんとなく理解できます。会話はどちらかといえば相手の気持ちを大事にする、コミュニケーションは内容をきちんと理解することが大切になることになります。

私は日本語を使っているときは出来る限り黙って聞くようにします。途中で遮って質問をしようとすると「まあ最後まで聞けよ」と言われ、相手に不愉快な気分にさせる可能性が高いからです。そうなると会話相手失格となります。対して英語を使うときは何が何でも話題に食らいついていこうとします。食らいついていく姿勢を見せなければ相手を不安にさせるからです。同じように不安にさせるとコミュニケーション相手として失格となります。つまり英語を話す時と日本語を話す時にその会話・コミュニケーション方法において2重人格を演じているのです。

英語を使っているときは内容を理解することに集中しなければなりません。100%話題に食らいついてく。これが礼儀になります。そうする為にはどんなことでもしなければなりません。前回のコラムで、たとえ単語でもその場で聞かなければならないということを書きました。これを書くと、「それは言うは易しだけど。。」とかなかなか実践してもらえません。でもこれが出来るようになると急速にコミュニケーション能力があがります。考えることは一点のみ、とにかく初めから終わりまで話題に食らいついていったか。きちんと相手のメッセージを理解できたか。相手はちゃんとあなたが話の内容を理解したことを喜びます。間違っても「この人、頭が悪いんじゃないの?」なんて決して思わないでしょう。

最近、『欧米流ミーティング・Discussionでの貢献法』等のセミナーを行っていますが、そこで「英会話はもう卒業しましょう」とあえて言うようにしています。それは英会話とは英語を日本式コミュニケーション方法(『会話』)で使用しているようにしか感じられないからです。英語を使用する時は『とにかく話題に食らいついていく』、日本語を使うときは『相手の気持ちを大事にする』この2つをきちんと使い分けられる人を私は日本でも世界でも尊敬される真のグローバル人材であると思います。


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