英語力をつけるためだけの勉強は百害あって一利なし

英語力をつけるためだけの勉強は百害あって一利なし


勝利の方程式.jpg【英会話】→【ビジネス英語】→【ミーティング・ネゴシエーション・プレゼンテーション】→【実践で使えるようになる】

これが仕事の現場で使える英語力を身につけるための勝利の方程式と言われており、どこの英会話学校も英語教育関係者もこれを謳っておりますが、私にはこの方程式に大きな疑問を感じています。私にはどうしても【英会話・ビジネス英語】から【ミーティング・ネゴシエーション】へのステップがウソに見えてなりません。それも【英会話・ビジネス英語】のステップで時間をかければかけるほど、その次の【ミーティング・ネゴシエーション・プレゼンテーション】への道がますます遠のいていくように感じます。

例えばテニスを始める時に、ボールを打つ前に「必要な筋肉を鍛えたり・本を買ってメンタルトレーニング」をやっていてもあまり効果がないでしょう。簡単にラケットの握り方と素振りを覚えたらすぐにボールを実際に打ってみて腕を磨いていくしか方法はありません。

実践で使える英語力を身につけていくのもこれと似ています。まずは英語力をつけるだけのために単語や表現を一生懸命覚える(メンタルトレーニング)。ミーティングや交渉で使用することを想定した単語や表現を多く覚えたところで実際にそれを使う場面はまず出てこないでしょう。それよりも実際にその場に立ったときに「単語・表現が分からないから(出てこないから)コミュニケーション自体を諦めてしまう」メンタリティーが最も問題です。

一度このメンタリティーに入ってしまうと負のスパイラル(単語・表現を覚える→理解できないのは英語力不足によると思ってしまい途中でコミュニケーションを図るのを諦めてしまう→単語・表現をさらに一生懸命覚える)に入ってしまいます。英語力をつけるためだけの勉強ほど無駄なものはないのです。たとえ英会話スクールに行っていても同じです。英語力をつけることだけを主眼に置き非現実的なロールプレイをしたり、今後の仕事に全く役に立たないQ&Aセッションをしたり(これでディスカッションをした気にさせている)しても意味がないのです。そもそもコミュニケーション相手のネイティブにそれなりの知識・教養がなければディスカッションに発展することはまずないでしょう。

英語はあくまでもコミュニケーションツールです。ツールとして使いこなす練習をしないといつまで経ってもツールとして使いこなせません。よって現在の英語力がどうであれ、英語を通じて何か(英語以外のもの)を伝える・学ぶトレーニングをしなければ意味がないのです。それにはそもそも「伝えたいことがある」、「相手の話から何かを学びたいと思う姿勢がある」ことが言語よりも遥かに重要になります。あなたは熱中して伝えたいものがありますか。何が何でも伝えたいメッセージはありますか。相手から常に何かを学びたいと思っていますか。まずそれを考えることからはじめなければいけません。

「え~。そんなメッセージなんてないよ」と思われる方。普段あなたの顧客、同僚、友人と話している話題を思い返してみてください。最近読んだ面白い記魔竦lから聞いた面白い話やご自身に起きた面白い事件などについて話しているのではないでしょうか。テレビ・映画・本で感動した話もきっとしていることでしょう。必死?なって伝えたいことがあればどんなに英語力がなくてもメッセージは必ず伝えることができます。こうして伝える過程で新しい単語や今後の課題を自分で考え、スキルアップしなければ現場で使える英語力をつけることができません。

私自身、知的好奇心が刺激される話やビジネスアイディアに常に飢えており、それを満たすためにいろいろな方に会ったり、ジャンルを問わずいろいろな本を読んだりしています。週1-2冊ビジネス書(洋書)をオーディオブックで聞いてたりもしています。オーディオブックは毎日1時間、歩いたり走ったりしている時に聞いていますが、その中でどうしても人に話したくなるようなストーリーは書き留めるようにしています。例えば最近読んだというか聴いた”BUZZ Marketing(邦題:バズ・マーケティング)”という本の中で以下のような話が目に(耳に!?)とまりました。

あるフードプロセッサーを製造している会社がとったユニークな販売手法です。何と最新のiPODを自社フードプロセッサーにかけ、一瞬にして灰に変えてしまったのです。そしてその一連の映像をYouTubeにアップしました。実際の映像はこちらよりご覧ください。この映像は瞬く間に口コミで世界中に広がり、何百万人の人が見たといわれます。「どんなものでも砕ける」という力強いメッセージとその話題性で売り上げが5倍になったそうです。

まずこの話を映像を見せる前に伝えてみる。そして実際の映像を見せて、この手法をヒントに自分の会社で扱っている製品を売ることができないかを一緒になって考えてみる。他にはどんな口コミの成功例があるのか、などのテーマで話せば英語をツールとして使っていることになりますし、新しい何かを学ぶことができます。そして、こういう話をしながら出てきた単語を覚えたり、流暢に話す為の課題を自分で探していき、実際に英語力をつけていく。これを繰り返していかないといつまで経っても【英会話・ビジネス英語】から卒業できないのです。

このような話をすると「よく分かりました。ただそもそも何かを伝える英語力がないのでまずそれを身につけてからやります」という答えがよく返ってきます。ボールを打つまで何年のメンタルトレーニングが必要なのでしょうか。いまの英語力で十分だと思ってください。「単語が出てこなかったらどうすればいいのか。」言葉は日本語で話している時も出てこないことが良くあります。その時「ほら、あれあれ」と具体的に使用する状況を説明して相手から引き出していませんか。それと全く同じことをすればいいのです。

話の内容は難しいものである必要はありません。簡単な短い話でいいので

  1. 対話を通じてその話を理解させ
  2. その後議論をリードする練習

を行ってください。相手に面白い話をしてもらい、それを理解するところからはじめても構いません。自分から話す時はどうやったら相手を飽きさせず、しかも簡潔に伝えていくかを考えながらストーリーを構成しなければなりません。また相手あってのことですので実際は準備した通りに話が展開出来ることはまずありません。冒頭で突発的な質問をされるかもしれませんし、流れが自分の意図しないほうに流れていく可能性があります。その時はいかに流れに沿って臨機応変に対応できるかも大切な訓練になります。何度も書いている通り、話し手が一気に説明しがちな日本流コミュニケーションスタイルと、対話を通じて理解する、説明するグローバルミュニケーションスタイルは全く違うのです。これを実践を通じて身につけていかなければなりません。

英語力をつけるためだけの勉強はいつまで経ってもボールを打とうとしない、テニス初心者のようなものです。メンタルトレーニングはやめてにボールを打つ練習を一刻も早く行ってください。


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