Powerpointの使い方

Powerpointの使い方



powerpoint 1.jpg最近人の講演を聞きに行く機会が多く、つい先日もある外資系企業日本支社の元社長のプレゼンを聞きに行きました。今回はプレゼンについて、とりわけパワーポイントの使い方について書きたいと思います。

実は昨年からプレゼンテーション研修(日本語によるプレゼン)の講師をある研修会社から依頼をされ、時々行っています。恥ずかしい話、私は昨年までプレゼン・スピーチが大嫌いで可能な限り、避けて通ってきました。ビジネススクール時代でさえ出来る限り逃げていたという情けないものでした(そう簡単に逃げられませんでしたが。。。)。とにかく緊張する。準備の仕方が分からない。一度紙に書き出して満足してしまい、あとはほとんどがぶつけ本番で行う為、三振か二塁打(ホームランとは書けなません・笑)と出たところ勝負でした。

そんな中、急にプレゼンの講師を頼まれ、自分の殻を破る意味でも思い切って引き受けたのが始まりでした。「プレゼンが苦手」→「プレゼン研修を受ける」ではなく、「プレゼンが苦手」→「プレゼンの講師をする」という有り得ないステップを踏んだわけです。今振り返って考えるとぞっとします(笑)。講師が緊張していたら洒落にならないということで、プレゼンに関する本を読み漁り、自分の練習スピーチを録音してiPODで聞き返すなど何度も何度も練習して本番に臨みました。

人生どうなるか分からないというのはこういうことをいうんですね。意外とうまくいき、回を重ねるごとに自信もついていきました。いろいろと勉強する中で、ここ数年間でプレゼン方法において従来の常識が覆され、大きな変化が起きていることが分かりました。ただ、それをアップデートしているビジネスパーソンは極めて少ない。。。きっかけは今流行の脳研究で、集中力の限界について理解が深まったことからでした。一番目の発見は人の話を黙って聞く(passive listening)とき、脳の集中力は最大20分しか続かないということ。2番目は脳はマルチタスクが出来ないということ。この2つを応用すると従来のプレゼンテーションのやり方を大幅に変えなければいけないことになるといいます。

20分以内の話は昔から言われてきたことが証明されたという話だけですので、あえて詳しく説明しませんが、20分で伝えられるメッセージを延々1時間以上も話す人があまりにも多い。。。前出の外資系企業の元日本支社長のスピーチも30分の予定が延々と100分間も続き、当然大部分の聴衆が集中力を切らしていました。折角素晴らしいメッセージがこめられていたにも係わらず、必要のない細部にわたり延々と説明した結果、伝えたいメッセージがぼやけてしまい大変残念に思いました。誰しもプレゼンを行う時、自分が知っていることを全て伝えたいという気持ちを強く持ちます。しかし聴衆の為にも、そして何よりもメッセージがしっかり伝わる為にも、最も伝えたいメッセージを一点に絞って飽きさせず、コンパクトに伝えなければなりません。

さて、「脳はマルチタスクを出来ない」、この部分が今回の主題です。ほとんどの方が経験あると思いますが、現在行われている大部分のパワーポイントを利用したプレゼンテーションのスライドはテキストを箇条書きにしたものです。しかし脳はマルチタスクが出来ないということですと、聴衆はあなたの話を聞きながらパワーポイントに書かれたテキストを読むことが出来ないことになります。つまり、パワーポイントを読んでいる間はあなたの話は聞いていないのです。パワーポイントはあくまでも主であるあなたのスピーチを補うものであるものに係わらず、読まれている間はパワーポイントが主になってしまうのです。

20分しか集中力が続かないということはこの20分間聴衆をあなたの話だけに集中させなければなりません。よってパワーポイントは読ませてはならないのです。ではどうしたらよいか。パワーポイントを使わないという選択肢もありますが、パワーポイントにも大変効果的な使い方があるのです。それは言葉ではなく写真・絵を使うことです。マルチタスクは出来ないというのはあくまでも何かを読みながら話を聞けないということで、絵・写真を見ながら話を聞くことは同時に出来ます。これも脳の研究で明らかになっているようですが、テレビ(画像と音の組み合わせ)が情報伝達手段として優れていることからも分かるでしょう。つまりテレビをみるようなやり方でプレゼンを行うのが最も効果的だということになります。

 
Powerpoint 3.jpg私もはじめこれを聞いたとき、「本当かな?」と思いました。でも実際にやってみるとこのやり方がいかにメッセージを効果的に伝えるか分かります。まずは私が実際に使用したパワーポイントファイルをご覧ください。これは先日、『欧米流ミーティング・Discussionでの貢献法』というセミナーのDiscussionに入る前の15分程度のプレゼンに使用したパワーポイントの資料で全て写真・Illustrationを使っています。以前全く同じプレゼンをテキストを使った箇条書きで行ったのですが、参加者の反応を見ているとこちらの方が圧倒的に伝えたいメッセージが伝わっているのがよく分かります。パワーポイントは発表者の言葉に感情を与える為にあるということがよく分かります。このやり方をはじめて行うのはとても勇気のいることだと思いますが、次の機会に是非挑戦してみてください。その違いがすぐに分かると思います。


Posted by Masafumi Otsuka

2

2

comments

    Aug 09
    2009

    川本佐奈恵

    先日はいらしてくださってありがとうございました。大塚氏のプレゼンは本当にカッコ良いです。今までにないパワーポイントの使い方は、ちょっと衝撃的でした。な、何これ?え?誰も操作している人は裏方にもいそうにないのに、どうなっているの?と思いました。
    スピーチしながら何気なくご本人がパワーポイントのリモコンを操作しているのですね。しかも、スクリーンのほうは全く見ずに操作しているので、スッと画面が切り替わる際、まさしく映画か何かを観ているような不思議な錯覚に陥ります。画像で訴えかけられると記憶にも残りやすいですね。スピーカーのポイントが良くわかると同時に説得力が増します。
    ついでに一曲、歌と踊りでも披露してくれたら抜群なんだけどなあ~。

    Reply
    Aug 10
    2009

    Masafumi Otsuka

    佐奈恵さん コメント、ありがとうございます。確かに記憶に残りやすいというのも大切ですね。プレゼンを聞いてから3日後にその内容をどれだけ覚えているかを調べたある調査によると、そのプレゼンがスピーチ(Oral)のみで行われた場合は10%、映像(Visual)のみだと35%であるが、スピーチと映像(Oral & Visual)を両方見せると65%も覚えているとのことでした。参考までに。
    それにしても歌と踊りを披露!?それだけはご勘弁を!

    Reply

Leave a Reply