聞き手の重要な責任とは

聞き手の重要な責任とは


Seminar.jpg日曜日に「欧米流ミーティング、Discussionでの貢献法」というセミナーを行いました。このセミナーは「英語によるDiscussionとは何か」を教えるのではなく体感してもらうもので、実際に誰もが感情移入できるような現実的な問題をDiscussionを通じて解決することで、①Discussionとは何か、②どのように貢献したら良いか、を感じ取っていただきます。いつもは簡単なIce Breakingを行った後、すぐにDiscussionに入っていくわけですが、今回はちょっと趣向を変え、冒頭で以前「Active Listeningの見える化」の記事で日本語と英語のコミュニケーション方法の違いを説明する為、弊社で行っているCommunication Test for Professionalsを受験した2名の生徒のスクリプトを文章として見せましたが、その音声を実際に聞いてもらい、コミュニケーション方法の違いを解説したところ、「な~るほど。そういうことだったのか(英語で言う”A-ha moment”)」と深く納得していただいた感触を得ました。

今までは英語を話す際は、「分からないことは分からない」と流さずきちんといわなければならないと言ってきましたが、どうもそう言われたほうは何だかバカにされた感じてしまっていたようです。同じメッセージでも伝え方によってここまで変わるのかと大きな発見がありました。難しいメッセージをどうシンプルに、そのメッセージに沿って行動しようと思ってもらえるように伝えるか。これは永遠に追求していくべき課題です。

また、「Active Listeningを見える化」を読んだ現在米国で働く友人から

> (はじめは)逆のことを思っていましたが、ここ数週間、大塚さんのアドバイスを
> 信じて実践して、その効果・重要性を疑わなくなりました。

という大変うれしいメールを先日頂きました。毎日英語に触れていらっしゃる方でも気づきにくいところであることを改めて感じました。

現在英語を学ぶ多くのビジネスパーソンはPassive ListeningのKing/Queenを目指しています。それは日本語という言語がPassive Listeningで使用される言語であり、それ以外の方法は知らない為、全ての言語はPassive Listeningで行われると思ってしまうのは当然といえば当然です。そもそも普段我々がPassive Listeningを用いて日本語を使っていること自体、無意識で行っていることに問題の深さを感じます。

セミナー中にもう一点うまく伝わったと思ったのが、日本では伝わったかどうかの責任は話し手がほぼ100%負っていますが、英語では聞き手も相手の伝えたいことをうまく引き出しているかどうかという重要な責任を負っているという点です。このActive Listeningの音声を聞かせるとこれがはっきりと理解していただけます。試しにリスニング力の高いといわれている人にPassive Listeningで話の内容を理解しようとしている音声(記事の一人目のスクリプト)を聞かせ、話された内容を要約させたところ、間違って理解していたことが分かります。そこでActive Listeningを使用している音声(記事の二人目のスクリプト)を聞かせたところ、今度は正確に内容を理解出来ました。

英語によるDiscussionを行う際、多くの日本人ビジネスパーソンが当たる最初の壁は、「話されている内容を正確に理解出来るかどうか」になります。話されている内容をきちんと理解せずに意見をいうことなど出来るはずはありません。日本語は同じ価値観を持った人間同士で使われる為、黙って聞いていてもなんとなく理解できますが、英語は異なる文化の上に立っている言語の為、使用される単語の意味も発音方法も文化によって変わってきます。そこで大切になるのがこのActive Listeningを通じてその場できちんと内容を確認することにになります。”What do you mean by…”"Can you give me an example?” “This is what I’m hearing you saying…”などの間髪いれずにテニスのラリーのように絶えず確認作業を行わないと理解できるわけがない。

しかし、これをいきなり大人数の中でやれと言うのも無理があります。だからこそ普段一対一の状況でまずActive Listeningをマスターすることが大切になります。「そういった状況をどのように作り、トレーニングを行わせるか。」が今後我々英語教育関係者の大切なタスクになります。こういったカリキュラムを作らなければと痛感した一日でした。


Posted by Masafumi Otsuka

Leave a Reply