異色な日本人
川井拓良(かわいたくら)。この名前はぜひ覚えていて欲しい。今までいろいろな人と会ってきましたが、この人ほど破天荒というかスケールの大きい方はなかなかいません。まだ33歳。「英語仕事人に聞く」でインタビューをして以来、会うのは今回で2回目ですが先日食事をご一緒させていただき、刺激を受けまくりました。いかに自分が住んでいる世界が狭いか、もっともっとリスクを取っていろいろなことができるのではないか。「挑戦してみよう!」と前向きな気持ちにさせてくれる大変魅力のある方です。
まずはあり得ないバックグラウンドから。中学まで普通に日本に暮らすも、そのまま高校に進学する気になれず、何を考えたか一人でニュージーランドのマウイ族の村に留学。2年後に南アフリカ共和国に渡り、高校を卒業。モスクワ大学(日本でいえば東大)に合格するも入学直前にモスクワで乗っていた電車がテロ爆破(ひとつ前の車両が爆発したとのこと)され、生命の危機を感じてロシアを脱出。
航空代がなかったため、とりあえず北京に電車で移動。移動中、たまたま通ったモンゴルの空が美しさに見とれ、途中下車。そのままモンゴル国立大学に編入し、遊牧民と暮らす。ここまで一切勉強する気になれず、どこに行っても、成績はビリに近かったとのこと。「それで何故ロシアの東大に合格?」と訊ねたところ「モスクワ大学は当時日本人が誰も出願していなかったので、まあ一人くらいはいいだろう」と取ってもらったとのこと(笑)。
転機となったのがモンゴル人親友が警察に殺される事件が起きたこと。「この国は法律がしっかり整備していないからいけないんだ」との怒りから法律家になることを決意。猛勉強の末、英国リーズ大学に入学。在学中に提出した企業法の論文が全国2位となり、一流のローファームからオファーが殺到。その後全額奨学金でオックスフォード大学ロースクール(法科大学院)に進み、ヨーロッパ法を学びにベルギーのルーベン大学ロースクールも全額奨学金で卒業。 現在は 東欧系大手法律事務所の最年少パートナー(共同経営者)。150人近くいるパートナーの中で唯一のアジア人(彼以外全員白人)。部下も全員白人とのこと。
エリート弁護士ですが、まったくエリート臭を感じさせない。ガードが低いというか、この人にだったらどんな話をしても大丈夫だろうという安心感があります。こう思わせる雰囲気というか空気を持っている人は共通してコミュニケーション力が抜群に高い。本人に「世界中の人とCommunicateする際の秘訣は?」と訊ねたところ、「笑顔!」と即答していたのがとても印象的でした。そういわれると、掲載した写真のSmileを見比べてみると、私のはウソっぽく見えてしまいます(笑)。
以前サンリオのアメリカ・ヨーロッパ法人COOの鳩山氏と話した時、MBA留学を含め海外に8年以上住んできても「米国人社員との距離感を掴むのに苦労している」という話を聞きましたが、川井さんは「たまに厳しいことを言うが、基本は友達になる」という非常にシンプルな回答で、とてもうまくいっているとのことでした。日本人との比較について、日本人はManageしたことないので比較できないとのこと。まあ当然と言えば当然ですね(笑)。彼が世界中を転々としているうちに知らないうちに身に付けたこうしたスキルを解明したいものです。私も米国・カナダのビジネスパーソン20名近くManageしていますが、時に違和感を感じることがあります。今後はコミュニケーションのみならずこういった情報も発信していかねばと思いました。まだ感覚的にやっており、自分の中で落とし込めていません。。。
川井拓良。ぜひ覚えていてほしい名前です。きっと5年後~10年後に日本を代表するグローバルリーダーになっていることでしょう。皆さんの周りにも「これこそ国際人!」と思わせる人や「抜群にコミュニケーションのうまい!」と感じさせる方はいらっしゃいますか?
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