発想の転換
本日インドと日本をつなぐBusiness/IT Consultingを行っている会社の社長(インド人)とランチをして、グローバルビジネスのルールが転換しつつあることを肌で感じました。
英経済誌The Economistの記事”A special report on telecoms in emerging markets“によると、各国の携帯電話加入者の一人当たりの月間支払額の比較が出ており、それによると
日本:59ドル、米国:51ドル、中国:10ドル、インド:7ドル弱
(ドルはUS$)と先進国と途上国の差が大きい中、インドの携帯電話会社の営業利益率は欧米トップの携帯電話会社並みの40%であると驚くべきことが書いてあります。
また先日TATA Motorsの2,000ドルの自動車「ナノ」やTATA Housingの総建築費10,000ドル以下の家が爆発的に売れているというニュースを聞くと、何か今まで考えられてきた常識やルールが変化しているのではないかと感じざる得ません。
いままで途上国というと輸出中心で外貨を稼ぎ、徐々に生活水準を向上させ、先進国の仲間入りを果たすというステップを踏むイメージを持っていましたが、何か違ったことが起きているのではないかという感覚です。どうして技術力のある日本企業がそういったものを作れないのか。ずっとこれを不思議に思っており、今回コンサル会社の社長に聞いてみて、深く納得しました。
それは人口11億人のインドと1億人の日本とでは同じ商品を販売するにしてもその戦略が全く異なるとのこと。通常商品を開発する際、どんなセグメント(対象とする層:例えば40代主婦)をターゲットにして売り出すかということを考え、商品開発から販売方法を考えるのですが、人口1億人の国で競争がすさまじく激しい日本では、年々対象セグメントが複雑化、細分化してしまう。このマインドセットのまま、人口11億人でセグメントも複雑でないインドに行ってしまうと、うまくいかない。また技術へのこだわりがあまりにも強いということもマイナスになるようです。今まで複雑な機能を追加することばかり考えてきたがいきなり削れといわれてしまっても困ってしまう。そもそも購買力、コストの発想で一部の裕福層ではなく11億人のマーケット全体にモノを売り、同時に利益を生むという発想自体、日本人にはあまりない。細分化のマインドセットと拡張のマインドセットは全く違うスキル・マインドが要するとのこと。またそのスピード感も全く異なると語っていたのが非常に印象的でした。
インドや中国のこういった機能を絞った激安の生活必需品市場は生まれたばかりであり、発想さえ転換できれば日本の技術力が生かされる場が無限にあると大変勇気付けられることも仰っていました。結局英語によるコミュニケーションもCreativityも今回の件にしても、世界を取り巻く環境が急速に変わる中、時代に沿ったマインドを持っていかないと一気に取り残されていってしまうのではないかと改めて感じました。
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