初心者もNegotiationを!
本日「欧米流交渉術を学ぶ」というセミナーをある団体向けに行いました。Negotiationというと英語学習の最難関、最終到達点と考えていらっしゃる方が多いと思いますが、私は初心者だろうが上級者だろうが関係なく参加していただいています。英語のレベルというよりも社会経験のほうが遥かに重要で、特にNegotiationセミナーはどんなに英語が堪能でも大学生や社会人1年目の方には遠慮していただいています。社会経験をつんできた方同士の方がその経験を語ることができますので議論が深まるからです。
MBAで実際にやるようなNegotiationを英語のレベルに関係なくやらせてみる。そし誰も置いていかないようにしっかりとファシリテートし、「勉強になった。楽しかった。」と満足して帰っていただく。これは誰もやっていない試みであり、やりがいがあります。
このセミナーは全5回のシリーズものです。各回、交渉用のケースが事前に配られ、それを事前に読んできていただきます。セミナーはまず、40-50分程度かけて参加者全員でケースの内容に基づき交渉戦略を練ります。これも当然英語によるDiscussion形式で行います。その後代表者を2名選び、アメリカにいる弊社の講師(MBAホールダー)とビデオ会議(Skype)を通じて交渉を行う(上の写真を参照)のですが、その2名は残りの参加者をアドバイザーとして使っても構わない(ただし、最終決定は自分達でする)ルールになっています。2名の代表者も平等に交渉相手と話すように前半と後半で交代します。交渉は全て時間制限があり(今回は50分)、時間を経過してしまうとNo Dealになります。
そして終了後にその交渉相手である弊社講師を交えてDiscussionを行い(写真の右側から講師がビデオで参加しています)、お互い交渉中に何を考えどうしてそのような行為に及んだのか、普段はまず聞くことができない相手サイドの本音をDiscussion形式でオープンに話し合います。こうすることにより、「価格・条件はこちらから切り出すべきか」「こちらから切り出す場合、どの程度吹っかければ良いのか」「今合意にしそうな条件よりお互いベターなものを作れないかどうか」など、体系的に交渉理論を学ぶというセミナーです。そして「相手はそんなことを考えていたのか」「何気なく言った一言がそんなに誤解を生んだのか」「そこまで値切れたとは。。。」など知らなかった情報が次々と明るみに出て一気に盛り上がります。
今回は参加人数が6名と少なかったのですが、2名の代表者はとにかく今持っている語彙をフル稼働させ、必死に思いを伝えようとしていました。また、相手の話をきちんと理解できないと話が進みませんので、何度でも聞きなおし、正確に理解しようと努めていました。”This is what I hear you saying…”ときちんと相手の内容に誤解がないよう要約しながら確認している姿があり、とてもうれしかったです。とにかく交渉中は自分の英語のうまい下手など気にしている余裕などありません。「これこそ本当のコミュニケーションだ!」と実際に交渉している姿を後ろから見ていていつも感じます。
英語を学ぶのではなく英語を使って何か(ビジネスや生活上の)役に立つものを学ぶ。それはNegotiationを通じてでもDiscussionを通じてでも構わない。NegotiationもDiscussionもトピックを簡単(感情移入が出来るもの)にすればどんな英語レベルでも一生懸命思いを伝えようとします。こういったことを初心者の頃からやる習慣をつけないと、いつまで立っても英語をツールとして使いこなせるようになりません。
最近どの経営者と話してもグローバル人材の不足が今後日本の成長の足かせになるだろうと大きな危機意識を持っています。英語のプロから英語だけを学ぶ古き良き時代にはピリオドを打たなければなりません。時代のニーズに合わせた教育プログラムを常に考え、実験しながら作っていかなければいけないと日々自分に言い聞かせています。
ちなみに今までNegotiationに参加いただいた最もTOEICが低い人は500点前後だそうです。しかし私から見てTOEIC900点以上でもCommunication初心者はいますので、TOEIC自体全く参考になりません。まあ500点レベルの語彙力を持っていればいいのではないでしょうか。
初心者もNegotiationを!Case Discussionでも構いません。こうした運動、起こしませんか?
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