クリティカルとCriticalの違い
今回もまずは告知。2月19日(金)19時より私の母校のDarden Graduate School of BusinessのTokyo ChapterがCold Call Nightsというイベントを開催します。今回は一橋大学MBAの石倉洋子教授がDiscussionセッションをホストします。誰でも参加できます。詳しい内容とお申込みはこちらをご覧ください。
さて、今回の記事。「結局何が言いたいのかね。」、「君の話のロジック、よく分からない」と言われた経験はないでしょうか。私は何度もあります。今でも言われます。こういわれると何故か自分全てが否定された気持ちになる。しかし不思議なことに外国人にこう言われたことは一度もありません。何故か。。。
クリティカル・シンキングがここ数年流行っています。「クリティカル・シンキング」、「ロジカル・シンキング」、「論理的思考」をキーワードにAMAZONで検索してみますと100冊以上タイトルが出てきます。研修やセミナーでもクリティカル・シンキングの講座は大人気で、あるビジネス専門学校では過去に数万人もクリティカル・シンキングのコースを受講したと聞きます。
実はこのテーマ、今まで何度もこのブログで書こうとしてきました。でもどうしてもうまく書けない。自分自身がクリティカル・シンカーではないからでしょうか。うまく考えがまとめられない。最近ようやくその原因に気づきました。どうも私自身「ロジック」とか「クリティカル・シンキング」という言葉が嫌いだったのです(笑)。
Critical Thinking。直訳すると「批判的に考える」になりますが、これは人の話(主張)を聞くときに、そのまま受け入れるのではなく、客観的に話の筋が通っているのか、その内容を正確に理解するために、いくつかのフィルターにかけながら話を聞いていく思考法です。
フィルターの一つとして言葉の使い方があります。例えば「あのレストラン最高だったよ!」という話を友人がしたとします。日本的な感覚ですと「最高」という言葉で料理・雰囲気・サービスを含め文句の付け所がないと捉えますが、外国人からすると「何が良かったのか?」が「最高」という言葉だけでは分らない。日本では辛いもの、甘いもの、すっぱいものなど多少誤差はあるにしても、「なんとなく」みんな同じような味覚をもっており、一言いえば「なんとなく」感じが分かります。そこで具体的に「何が『最高』良かったのか?」など突っ込んで聞いてしまうと「こいつ、面倒くさいな」と思われてしまう。「内容をきちんと理解するよりも相手の気持ちを大切にする」日本式コミュニケーション方法にはクリティカル・シンキングは合わないのではないかと前々から感じていました。
でも英語を使用する際は全く違います。英語は味覚も価値観も全く人達同士が使用する国際言語ですのでこの「なんとなく」が全く通用しません。そこでCritical Thinkingが生きます。Critical thinkingは本来「相手の話を誤解なく正確に理解する」、「より円滑にCommunicationを図る」為に使われる思考法です。「あなたの話に私は大変興味を持っています。もっともっと教えて欲しい。」という想いがあって、はじめてCritical thinkingの思考法が生きるのです。さらに自分の考えをうまく表現できない人の伝えたいメッセージをうまく引き出してあげようとする。こうした温かい気持ちがテクニック以上に大切なのです。
しかし、どうも私の周りでクリティカル・シンキングの本を読んだり、授業を受けている人を見ていると、「相手を唸らせる質問をしてやろう」とか「自分の頭の良さを証明してやろう」と本質からかけ離れた目的で勉強している人が少なくないような気がします。だからこそ「君の話のロジック、全く分からない」という言葉が出てきてしまうように思えます。
Communicationにおいて最も大切なことは「どんなことをしてでも相手の話を100%理解しよう」、「どんな手を使ってでも自分の思いを伝い切ろう」という気持ちです。ロジックとかクリティカル・シンキングはあくまでこうした裸のコミュニケーションをサポートする為のツールなのです。日本式クリティカル・シンキングのマインドで英語を使っている人が多いような気がします。これも外国人とオープンなCommunicationを阻む、誤ったマインドセットの一つであるような気がします。
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