朝言朝改のススメ
「朝令暮改」。2年前、はじめてこの言葉を聞いたとき、「それってどういう意味ですか?」と思わず言ってしまいましたが(笑)、朝出した命令を夕方には改める、そういった人は一貫性がなく、信用できない。確かにこんな上司は持ちたくありません。
一度言ってしまったことはなかなか取り下げることが出来ません。「自分の言ったことには責任を持ちなさい」と親や先生から子供の頃、口酸っぱく言われてきました。実はこの「朝令暮改」マインドがあらゆる意味で円滑なコミュニケーションを阻んでいるように感じます。
「国籍や地位に関係なくオープンなコミュニケーションの取れる人材」を私はグローバル人材と考えていますが、実はこの「オープン」というのが曲者で、建設的なコミュニケーションを図りたければ自分の考えをいつでもその場で変えられる素直さ、”open mindness”が必要になります。しかし言葉では分かっていてもプライドが邪魔してしまい、これがなかなか出来ない。
ビジネススクール留学時代、クラスメートと議論になり、自分の主張に対する反論を受け、「やばい!返す言葉が出てこない。。。」と、悔しい思いを何度もしました。そして後で言うべきことを思いつき、「何であの時出てこなかったんだ!」と深く自分を責めました。
まさしくこうしたマインドが”closed mindness”であることに最近気づかされました。コミュニケーションとは「自分の頭の良さを証明する」「自分の主張の正しさを証明する」ためのものではなく、「その場」で何が分からないのかを含め全てをさらけ出し、「その場」で一緒になって考えていく、理解を深めていく、問題解決を行っていく作業です。この「その場で」というのが非常に大切で、後になって「ああいえばよかった」と後悔するのは「その場でオープン(裸)になれていない」からだと考えられます。もちろん後になって何か良いアイディアが思いつく場合もありますが、オープンなコミュニケーションを図っていた以上、後悔はすることはないでしょう。
「日本人がいつまで経っても英語を使いこなせるようにならないのはDebate教育が抜けているからだ」と多くの専門家は言います。しかし私はこれは違うと思う。Debateは一回立場をはっきりさせ、どんなことをしてでもそれを守り通す、「徹底した理論武装」を行うゲームで、こうしたオープンのコミュニケーションの対極に見えてしまうのは私だけでしょうか。特に日本人同士のDebateは「朝までテレビ」を代表されるように「自分の頭の良さを証明してやろう」的なアピール的な要素が強く、見ていてあまり気持ちよいものではありません。
もちろんコミュニケーションは双方向であり、自分だけ”open mind”を持って臨んでも、相手が”closed mind”であるとバカにされて終わってしまう可能性があります。しかし、自分の”open mindness”が相手に安心感を与え、建設的なコミュニケーションに発展したことを毎回ではないにしても少なからず目撃・体験してきました。
「朝令暮改」ではなく「朝言暮改」、いや「その場で」という要素を入れて「朝言朝改」を自然と実践できる強さを常に持っていたいものです。
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