TED Conference

TED Conference


Speech.jpg「洋書をオーディオブックで聞く」という記事でオーディオブックを聞くだけの為にiPODを購入したという話をしましたが、今回はオーディオブックと同じくらい頻繁にiPODにダウンロードしている動画サイトを紹介します。

TEDというこのサイト。グローバルリーダーを志す人、知的好奇心に飢えている人、スピーチ・プレゼン力を磨きたい方には”Must See”のサイトだと思うのですが、周りに話をしてみるとほとんどの方は知りません。見ていて心底「英語が出来て良かった」と思わせてくれる超優良サイトです。

TEDとはTechnology、Entertainment、Designの略で、アメリカのカリフォルニア州モントレーで年一回、様々な分野で活躍するその時の最も旬な著名人約50名集めて、それぞれ18分間のスピーチをさせる一大イベントです。過去には元副大統領でノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア、元米国大統領のビル・クリントン、マイクロソフトの会長で世界最大の偽善団体を運営するビル・ゲイツ、貧困問題に立ち向かうアーティストU2のBono等、数多くの著名人が登場しています。そのモットー、”Ideas worth spreading”から察するとおり、「自分の研究・事業・考えが世界をより良くする為にどう貢献しているか」を熱く発信する場となっています。

このイベント、出席するには年会費6,000ドル払わなければなりませんが、ありがたいことにそれぞれのスピーチを、タイムラグはありますが、全てネット上で動画配信(無料)しています。さらにありがたいことに直接iPODにダウンロードできるボタンがついていますので簡単にiPODに入れることが出来ます。私は通勤時間を利用してiPODで見ています。

数あるスピーチの中でまずは私が最も心を揺さぶられたスピーチの一つを紹介したいと思います。以前”Are you creative?”という記事を書きましたが、Creativity研究の第一人者で私がCreativityの分野に興味を持つきっかけを与えてくれた心の師匠(勝手に師匠と読んでいます・笑)、Ken Robinsonというイギリス人です。彼がTEDで”Do schools kill creativity?”の題でスピーチをしています。全て英語ですが、以下のビデオをご覧ください。ちなみに”View Subtitles”をクリックしていただき”Japanese”を選択すると日本語字幕が出てきます。

簡単に要約しますと、以前はある程度先まで世界がどう変化していくのかを予測できたが、現在は5年後の世界すら誰も分からなくなっている。そういった混沌とした時代にはCreativityがLiteracy(識字能力)と同じくらい大切になってくる。しかし、我々は依然として19世紀以降の工業化時代の到来に合わせて作られた教育システムに合わせて子供たちを教え、その中身はCreativityの天敵である「間違いを罰せられる」理念が中心となっている。結局我々は子供たちをCreativityから卒業させしまう教育を行ってしまっている。

ユネスコによると今後30年間で学位を持つ人間の数は今まで与えてきた学位の総数を超えるといわれるくらいAcademic Inflationが起きるとのこと。そうすると学位の価値はどんどん落ちていき、代わりに(何か新しいことを作り出せる)Creativityの能力は高まっていく。時代にあった教育システムを作っていかなければいけないという話です。

何より素晴らしいのがそのプレゼンのスタイルで、スピーチの構成が聞き手を全く飽きさせないように作られており、またPersonal Exampleをこれでもかというくらい多く入れ、1つの大きなメッセージを伝えるのをサポートしていることです。

このTED Conferenceで私はプレゼンの勉強をさせてもらっています。スピーチ・プレゼンを行う時、とにかく知っていること、調べたこと、伝えたいことを聞き手の立場を無視して、全部伝えようとする人達が非常に多い。特に日本では権威のある人はその権威に甘え、「理解できないのは聴衆が悪い」といわんばかりのひどいプレゼンを行っている光景を多く見かけます。

メッセージが伝わらない責任は発表者にあることをTEDのスピーチを見ていますと痛感します。とにかく専門的で難しい話を誰にでも分かるようにシンプルに伝えています。多くのスピーチを見ていますと、「大きなメッセージは一点に絞って、聞き手にとってどうしてそのメッセージが重要なのかをきっちりと説明し、感情移入できる興味深いPersonal Storyを通じて伝えていく」という共通した構成が見えてきます。私もKen Robinsonみたいな心に響くスピーチをいつかしてみたいものです。その前に伝えるものがないとダメですけどね(笑)。。。

ちなみに私の中でTED Best 3は
1位:Tale of Passion (Isabel Allende)

フェミニストと聞くと引いてしまう方が多い中、この人が定義するフェミニズムは涙なしには聞けません。1つの強烈なメッセージを大きなAnalogyで解説するやり方も大変勉強になります。プレゼンというと、ノートを使わずボディーラングエージを多用しないとダメとよくいわれますが、演壇(Podium)を使い、ノートも読みながら行うスピーチでこれだけのメッセージが伝えることが出来るのは、非常に勉強になります。

2位:Do schools kill creativity(by Ken Robinson)

3位:Nurturing Creativity (Elizabeth Gilbert)

「もうこれ以上の成功は望めない」と思われるくらい成功した大ベストセラー作家のCreativityに対する新しい考え方。「新しいものを創造していくプレッシャー」に負けてしまう多くの芸術家の思考プロセスを解説し、そうならないためのMind Setを提案しています。アメリカ人らしいオーソドックスなプレゼンのスタイルですが、出てくるPersonal Storyが本当に面白いです。

TEDをご覧になった方で「これこそ私のNo.1」というのがあったら是非教えてください!


Posted by Masafumi Otsuka

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comments

    Oct 15
    2009

    じょん・どー スピンドクターからドクターへ(のはるかなる道の…

    TEDを見ながら「英語が聴けてよかったな」と思う。

    「いまさら・・・」感もあるんだけれども、TEDってご存知だろーか?TED:Ideasworthspreading-http://www.ted.com/世…

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