バカ丸出しのススメ

バカ丸出しのススメ


asking.jpgまずは告知です。10月5日(月)に先日私がモデレータを務めさせていただきました座談会「理工系英語教育をめぐる諸問題」がJapantimes紙面上に掲載されます。2ページに渡る大きな記事で、記事も書かせていただきました。どれだけ編集されるかは分かりませんが可能な限り読みやすいシンプルな英語で書いたつもりです。文系より理系のほうがどうして英語が求められているか等、興味深い記事となっています。是非買って読んでみて下さいね。

さて、今回の記事。英語学校を経営していて、さらにセミナー講師として実際に教えていたりすると、英語に関することなら何でも知っていると思われてしまいます。先日も「大塚さんってアルピニストの野口さんに似ていますね。」といわれ、思わず「うん?アルピニストって何ですか?」と聞いたところ、周りにいた人々は衝撃を受けていました。ご丁寧に「そんなんで大丈夫なんですか。」と心配してくれた方もいらっしゃいました(笑)。

さらに数ヶ月前、私のセミナーが始まる前に一生懸命予習をしていた受講生に「そこに書いてある”diabolic”ってどういう意味でした?」と軽い気持ちで尋ねてみたところ、これもまた衝撃を受けたような顔をしていました(笑)。自分が作った教材に使った単語を忘れてしまうとは自分のバカさ加減に飽きれてしまいますが。。。

こんな私でも「大塚さんは英語と日本語どちらの方が話し易いですか?」と最近良く聞かれます。本当は両方使った方が最も意思疎通をしやすいのですが、「日本語の方が考えを伝えやすいけど、英語の方が気持ち的には楽」というのが、率直な答えです。私は別にネイティブを目指しているわけではなく、コミュニケーションさえ取れればいいと割り切っています。だから”alpinist(登山家)”であろうが”diabolic(悪魔のような)”であろうが、「それってどういう意味?」と聞けるのです。もっともっと驚くように簡単な単語でも平気で聞いてしまいます。

「その単語、前に勉強したぞ。何だっけ」と深く考えない。一度覚えた単語だろうと知らない単語だろうと、そんなことどうでもいいのです。その場で瞬間的にわからないことは無意識に聞く。「ちょっと間が出た時に止めよう」等の止めるタイミングも計らない。一度止めて聞くと以降止めやすくなります。英語によるコミュニケーションをテニスのラリーのようだと以前例えましたが、ラリーは続けば続くほどリズムが出てきて、盛り上がってきます。この感覚が本当に大事なのです。

しかし、日本語によるコミュニケーション方法しか知らない人は、これが出来ない。というか出来る訳がありません。冒頭の例ではありませんが「バカ丸出し」の感覚になるからです。「バカ丸出し」を避けようとすると、テニスのラリー方式ではなく
「一度で聞き取る、一度で伝え切る」
という英語力で乗り切るしかありません。困ったことに本当に頭の良いごく少数の人はそれが出来てしまう。そしてそういった人が目指すべきロールモデルとなってしまうところに、コミュニケーション力ではなく英語力に頼ろうとする問題の深刻さがあると思います。「恥をかく」より「努力する」方が精神的に楽という理由もあるでしょう。

ビジネス英語のバイブルといわれる教科書を読んでいると、すごくお洒落な、私の目から見ても美しい会話が話されており、(単語を聞いたりする)確認作業はほとんど入っていません。それをそのまま覚えようとすると知らない間に、「一度で聞き取る、一度で伝え切る」英語力を目指してしまうのです。これは本当に危険です。

英語は国際言語ですので、もっとバカになっていいのです。「大塚さんのように英語を話せるようになりたい。どうしたらよいのか。」と聞かれることがあります。私は常にこう答えています。
「本当にそうなりたいのですか。私などバカ丸出しにしているだけですよ。」と。


Posted by Masafumi Otsuka

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comments

    Oct 05
    2009

    nao

    明日でる記事の顔写真が大きいです、ちょっとびっくりしました。あのボリュームでそれでも文字数が足りなかったらしいので、プロフィールの顔写真が大きいのですよ。びっくりすると思います。
    重要なテーマなんだと改めて気がつかされた対談でした。年内に第二弾(少し別のかたち)でできると良いのですが。
    アルピニスト知らなかったってことは、きっと民放とかAERAなんかを普段読まれないからでは?

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    Oct 05
    2009

    Masafumi Otsuka

    写真、デカ!フォントも大きめですね。これだったらもっとWord数を膨らませればよかったですね。Word制限があると思いましたので私の方で大分削ったんですよ。。。でも無駄にWord数を多くして良いとは思えませんが。。。ビジネスの立場からも是非やりたいと思っています。
    確かにAERAは読みません。AERA Englishは毎月読んでいるのですが(笑)。。。テレビも最近めっきり見るのが少なくなりました。ちょっと世間ズレしてきているのかもしれませんね。まずいまずい。頑張ります!

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