プレゼンの練習法

プレゼンの練習法


Rehearsal.jpgようやく新らたにスタートするグローバル人材育成プログラムのウェブサイト(http://global.manabi.st/)が完成しました。2年間、いろいろとを試しながら形にしてきたプログラムですのでワクワクしています。今回、イメージを伝える為、恥ずかしながら、60秒の動画まで作ってしまいました。今年はこのプログラムを通じて、世界に羽ばたいていこうとしている人たちを応援していきたいと思っています。

If you’re too scared to watch yourself speak, how can you expect your audience to watch you?
–Scott Berkun

さて今回のブログ。ここ1ヶ月、トヨタ社長が2月5日に行った記者会見で使用した英語が英語業界関係者の中で話題になっています。どうやらニューヨークタイムズ紙に「ブロークン・イングリッシュ」と書かれたらしく、ビジネス英語の重鎮、日向清人さんがブログで豊田社長の話した英語をスクリプトにするなど、その英語が大きな反響を呼んでいます。

この日向さんのブログ記事「怪しげな英語と断じられたトヨタの社長」、Naoさん(いつもコメントを入れていただいている方)から教えていただいたのですが、この記事のコメント欄を読むとさらに面白い。

「日本人の英語に一番厳しいのは日本人である」とある世界を舞台に活躍する知人がいいましたが、いつもことある毎に英語の部分だけフォーカスされることに私は違和感を感じます。とにかくあの会見は英語以前に日本語の部分がひどかった。恐らく危機コンサルタントやメディアコンサルタントの指導を受けず、ぶつけ本番で臨んだのでしょう。

とにかく、ぶつけ本番でプレゼンを行う人が多い。原稿またはパワーポイントのスライドだけはしっかりと作る。あとは安心してその場で台本を読むかスライドをノート代わり使う。練習をしたとしても一度か二度、台本を音読したり、スライドを一通りみたりする程度。

何を隠そう、私もまさしくそうしてきました。一昨年はじめて企業研修の講師をやったときのことなど今でも思い出したくありません。確か(すでに記憶から抹殺しようとしている書き方です・笑)ある外資系企業の採用担当者向けのトレーニングだったと思いますが、事前に作った原稿に頼りっぱなしのトレーニングを行ってしまい、終了後のアンケートは散々なものでした(悲)。

結婚式でのスピーチも同じです。いままで友人代表スピーチを結構やってきましたが、まずは前日ギリギリまで準備を行う気が起きない(こういう人を英語で”procrastinator”といいます)。ほぼ毎回結婚式前日、夜中にデニーズに行って原稿を書き始めます。結局原稿は明け方に仕上がるため、覚える暇がない。しかし、原稿を読むのは格好悪い。こうしたひねくれた性格のため、結局ほとんどは「穴が入ったら入りたい」残念なスピーチとなり、友人には申し訳ないことをしたと今でも反省しています。

場数を踏めばなれるだろうと思っていましたが、一向に慣れませんでした。何故か。冒頭のScott Berkun氏(世界中で講演活動を行っているCreative Thinking、Innovation研究の権威)はその著書、“Confessions of a Public Speaker”で「多くの人はプレゼン・スピーチ前にリハーサルをするという発想自体がない。あったとしても間違った方法で行っている」といいます。そして、「その方法を続ける限り、永遠に上達しない」と。

Berkun氏はリハーサルの定義として「必ずビデオ取りをして、自分を厳しい目で見て、時には人にも見てもらい、時間が許す限り修正を繰り返すこと」といいます。「そんな時間ないよ」と思われる方。実はこれは例え時間作れたとしても相当勇気が要ります。以前自分の英語を話している音声をこのブログにアップしましたが、自分の声を後で音声で聞き直すこと自体、英語日本語問わず、慣れるのにすごく時間がかかりました。ましてビデオで見るなんて。。。考えただけで変な汗が出てしまいます。。。

冒頭の引用、「自分すら恐くて見れないスピーチをどうして人に見てもらえるのか」と。そうしてこう続けます”Don’t ask people to listen to something you haven’t listened to yourself. Just do it.” グサッと突き刺さります。以前、「プレゼンの準備法」という記事で

聴衆は常に「結局あなたは何を伝えようとしているのか。それを自分が受け取るメリットは何か」について考えながら話を聞いています。これにしっかりと答えてあげていないと、tune outする(あなたの話を聞かず、ほかの事を考える)理由を与えてしまいます。

と書きましたが、より本質的な問題としてきちんとリハーサルすることの重要性を改めて豊田社長の記者会見を通じて感じました。一昨年の企業研修で大きく失敗して以降、私はプレゼンの事前準備として、最低でもICレコーダーで自分のプレゼン・スピーチの練習を録音し、時間がある限り聞き直すようにしています。単純に練習するのと練習を録音し、それを聞き直すのとはその効果の差に自分でも驚いてしまいます。まだやられたことのない方は是非挑戦してみてください!


Posted by Masafumi Otsuka

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comments

    Mar 08
    2010

    Pocoruko

    大塚さん、いつも楽しく拝見しています。人前で講演やトレーニングを実施する職業柄、プレゼンについては私も他人事ではありません。私の会社の会長がプレゼンの練習を十数回も繰り返すという話を聞いて、私も事前練習を行うようにしてみました。練習のおかげで、時間管理のみならず各ページの資料で言いたいこと、全てのページを通じて伝えたいストーリーをより強く意識することが出来るようになりました。また自分の画像を取ることで、変な体の動きや話す速度が分かり、非常に有益でした。客観的に自分のプレゼンを見ることはプロ意識につながり、人に「自分の意見=価値」を伝えることの大切さを感じることにもつながると思います。

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    Mar 09
    2010

    Masafumi Otsuka

    先日ある大手外資系製薬会社に勤めていた方と話していたのですが、上司が個室で何度もプレゼンの練習をしているのを見たとのことでした。こうした話は良く聞きます。私の場合、大抵、準備したパワーポイントのスライドを練習の段階で3割以上削ります。知らず知らずにあれもこれもメッセージを入れすぎて、メインメッセージが薄れてしまうケースが多いです。難しいですね。。。

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