経験で解く日本人。フレームワークで解く外国人。

経験で解く日本人。フレームワークで解く外国人。


framework vs experience「解決案はクリエイティブで面白いと思うが、授業で教えたフレームワークを使っていない。どうやってその結論に辿り着いたのかが分からない。思いつきで答えているとしか思えないので点数のつけようがない。」
ちょうど先月から全国に100以上の販売代理店(店舗)を抱える外資系の二輪メーカーから依頼され、売上に直結する顧客体験を提供するにはどうしたら良いか。斬新なアイディアを3つ、1日かけて考えるワークショップを行っています。フレームワークを使ってワークショップは進めていくのですが、なかなか思うようにいかず、どうしようか考えていた所、アメリカにMBA留学していた時に教授に言われた冒頭の言葉を思い出しました。
これは組織行動論(Organizational Behavior)の試験で自分でも惚れ惚れするような答案を出したにも係らず”B-(マイナス)”という不名誉な成績をつけられ、教授に文句にいった時に言われた言葉で、試験の問題だった「『社内の人間関係のトラブルを解決する』のに何故、こんな訳の分からないフレームワークを使わなければならないのか」と当時は全く納得出来ませんでした。
さてワークショップ。プログラムの設計はThe Walt Disney Company(正確には傘下にあるコンサルティング会社ですが…)と一緒に考え、作ったとのこと。「さすがは顧客体験のディズニー!」と思わせるCreative感満載のプログラムで、大量に付箋を使いながら、アイディアを膨らませ、それを独特なフレームワークに落とし込み、斬新な顧客体験案を参加者と一緒に練り上げていく。はじめてワークショップの指導案を読んだとき、ワクワクしました。
ただ、実際に指導案通り実施してみると、「来店客を増やす」「Facebook、ブログを更新する」等、抽象的な案ばかり出てきて、来店客を増やす為の仕組みづくり、例えば「1回目に来店したお客様に対し、どうやったら再度来店してもらえるか」みたいな問題を解決するような「具体的な顧客体験案」が出てこない。
どうも、実際にAction Planを考えているとき、その前にいろいろとアクティビティーを交えながらたっぷりと時間をかけて解説した肝心なフレームワークを使っている感じがしない。おかしいと思い、次の代理店で同じワークショップを行った時、その冒頭で「フレームワークって聞いたことありますか?」と質問してみたら誰も聞いたことがないという。これは大変だと思い、この会社がディズニーと一緒に作ったフレームワークを説明する以前に、「フレームワークとは何か」、「何故これが大切なのか」、「どのように使用するべきか」を色々な例を交えながら解説するようにプログラムを大幅に変更しました。
日本には意識的にフレームワークを使って問題を解決するという発想がないように思います。私もそうでしたが、何か問題にぶつかった時、「どのフレームワークを使って解決しようか」という議論をするより「以前似たような問題をどう解決したか」と過去の経験を頼りに解決しているように感じます。
フレームワークとは何か。感覚的に説明すると左下の図のように、何か問題にぶつかった時にその解決を導く為に使うフィルターみたいなイメージでしょうか。フレームワーク自体何千もあり、状況に応じてどれを使うか決めていきます。一番有名なのがSWOT分析で、現在自社がいるビジネスの環境分析する時に使うフレームワークで右下の表に書き出して現状を分析するツールです。
Problem Solving
いま、英語という言語と同じくらい、フレームワークを使って問題解決するスキルが重要になってきています。何故か。
同じ会社に勤める日本人が日本人同士、安定した先の見える時代の中で、起きた問題は、従来の解決方法でうまくいきますが、国籍、業界、職種を跨いだコラボレーションが求められる変化の激しい時代には、問題(顧客ニーズ)が複雑すぎて「過去の経験」では解決出来ません。皆で一緒になって誤解なく解決していくツールが必要になってきます。そこで必要になるのがフレームワークです。
英語が世界共通のコミュニケーションツールだとすると、フレームワークというものは世界共通の問題解決ツールです。共通して語り合えるプラットフォームがないと、国籍もバックグラウンドも違うもの同士一緒になって問題解決はできません。
ただ、ビジネス書などで旬のフレームワークを紹介している本は沢山出ていますが、「フレームワークとは何か」、「何故それが重要か」、「どうやってそれを使用するのか」という基本的なことを解説した本はあまり聞きません。フレームワークを単なるチェックリスト又は情報を整理する為だけのツールだと理解している人が多い気がします。
そういった意味で今後フレームワークを使って問題解決していくスキルを身につけることはグローバル化教育を考える際とても重要になってきます。英語の問題のみならず、こうしたことも取り入れていかないと議論に入っていけない。
これは単なる私の思い違いか。次回のGlobal Discussion研修で取り入れ、検証してみたいと思いますが、皆さんのご意見も是非聞かせてください!

Posted by Masafumi Otsuka

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