優れた企業文化を作る方法

優れた企業文化「良いリーダーは部下の性格や個性など、より深く、個人レベルで知ろうとする。偉大なリーダーはもう一歩踏み込み、部下一人一人の価値観を学ぼうとする。そして自分の価値観と部下の価値観を共に話し合い、チームの価値観を作り上げていく。」
- The Leadership Challenge (James Kouzes, Barry Posner著)

優れた企業文化はどのように作っていけば良いのか。

「どんなに立派な経営理念や企業の価値観を掲げても、個々の従業員が自分の価値観を理解できていないと、あまり効果がない。」という話を前々回のブログで書きました。

企業理念、価値観が浸透しない意外な理由

経営理念 ミッション ビジョン バリュー「誠実であり続ける」「変革への情熱を抱く」、「未来を描く」、「ともに生み出す」。

上記4つを企業の価値観に掲げているのはどちらの会社だと思いますか?

2015年の不正会計事件で上場廃止直前まで追い込まれた東芝です。

経営理念(ミッション)、ビジョン、価値観(バリュー)。掲げるのは簡単ですが、浸透させるのは本当に難しい。浸透させるには何が必要か?

ベストな事業計画ではなく、情報共有システムが勝つ

Best Intelligence Wins2003年のイラク戦争。当時米統合特殊作戦コマンド司令官として着任したマククリスタル中将は当初、敵のテロ組織、アルカイダの動きを全く把握できなかったらしい。

PDCAのサイクル(現場や情報機関から情報を吸い上げる → 情報を分析、ターゲットを選定 → 計画を策定 → 計画の実行 → 実行後のレビュー)をどんなに早く回しても、敵の動きは常に一歩先をいっており、突入しても敵は既にいない。逆に奇襲攻撃をかけられたりする。

質問が驚くほど出てくるちょっとした意識の持ち方

質問20代だった頃は、講演や会議に出ても、質問することはまずなかった。そもそも何を聞いたら良いか分からない。大勢の前で何かを聞くのは恥ずかしいし、バカな質問をして後で笑われたくない。

それが30代半ばにある本を読んでから、マインドがガラリと変わり、今では会議や講演を聞きにいった時は、必ず質問するようにしています。

本は「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という自伝。著者のリチャード・ファインマンはアメリカの理科系大学の最高峰といわれるカルフォルニア工科大学(Caltech)の教授で、ノーベル物理学賞を受賞者。

OJT任せの人材育成が企業を滅ぼす

あるラーメン屋でご飯を食べていた時の話。カウンターの向こう側に入ったばかりだとすぐ分かる、人の良さそうな50歳前後の新人店員がいる。その他ベテラン店員が2名。

夜のピーク時だったので、忙しく動き回る2人のベテラン店員に対し、年齢が一回りも上と思われる新人は申し訳なさそうに、何も出来ずに突っ立っている。スープ係なのか、ご飯モノや定食を出した直後にスープだけを出している。

心理的安全性のない職場ではイノベーションは起きない

psychological_safety「社内での学び、イノベーション、成長を促す環境を作るには、リーダーはまず、fear (恐怖心)を従業員から取り除くことからはじめなければいけない。」
- Amy C. Edmondson (ハーバード・ビジネス・スクール教授)

もう20年以上も前の話になりますが、銀行員としてキャリアを始めた頃、教育の意味であえてやられていたんでしょうけど、鬼軍曹みたいな先輩がいて、何をしても、とにかく怒る。「何故出来ないのか?」と詰められても、目の前で威圧されては考えなど出てくるわけはない。結局黙って申し訳なさそうなオーラを出し、嵐が過ぎ去るのを待っていました。

人生がチェスではなく、ポーカーである理由

chess_or_poker2Self-serving bias(自己奉仕バイアス)という心理学用語はご存知でしょうか。

全く同じミスでも、他人のミスはその人の判断力や実力不足のせいで起きるが、自分がミスは運が悪かったためと自動的に考えてしまう人間の習性からくる偏見。

2003年、メジャーリーグベースボールのワールドシリーズ第6戦。シカゴ・カブスは3勝2敗とホームゲームで王手を迎えていた。3-0でリードで迎えた8回表で1アウト。相手打者がファールボールを打つ。

学び方研究の第一人者が語る最も効果的な学び方

practice3スポーツにしても芸術にしても、うまくなるかどうかは「才能」で決まると子供の頃からずっと思っていました。しかしこれは違うのではないかという思いを年々強めています。

過去教える側のスキルに問題があるという記事をいくつか書いて来ましたが、今回は学ぶ側に視点を当てて、より効果的にスキルを習得する為にどうしたら良いかについて書きたいと思います。

何らかの分野で頂点を極めた人はどのようにしてそのスキルを高めて行ったのか。

ダメ出しではなく「良い出し」のススメ

positive reinforcement「良い出し(positive reinforcement)」という言葉はご存知でしょうか。「ダメ出し(negative reinforcement)」は部下や生徒などが望ましくない行動を取った瞬間にそれを指摘し、改めさせるために行うものに対して、「良い出し」は望ましい行動を取った瞬間にそれを指摘し、継続的にその望ましい行動を促すために行うもの。

ちょっとイメージしづらいと思うので具体的に書くと、「ダメ出し」は「ほら、そうやったらダメでしょう。こうしなさい!」と注意をするのに対し、「良い出し」は「今の**(具体的な行動)、とてもいいね!その調子で続けてね。」という伝える行為。

相手(自分)をコミュ障と思う前に考えるべきこと

communication_disorders私は企業でグローバル・コミュニケーション研修をしていますので、若手と話す機会が多いのですが、「実は私はコミュ障(コミュニケーション力に障害がある人)なんです」と打ち明けられるケースが少なくありません。

仕事以外でも打ち明けられるケースもあるところをみると、最近自分のことをコミュ障と思っている若い人が増えているような気がします。

しかし実際にそういう人と話してみると、問題なく普通にコミュニケーションをとれている。