プレゼンの冒頭で伝えなければいけないWIIFMとは?

プレゼンの冒頭で伝えなければいけないWIIFMとは?


What's in it for you?WIIFMというちょっと聞き慣れない言葉。“What’s In It For Me?”の頭文字を取ったものでして、直訳すると「(この話を聞くことによって)私にとってどんなメリットがあるの?」というプレゼンの専門用語として良く使われます。

私はプレゼンを行うとき、このWIIFM、「この話を聞くことによって、聴衆にどんなメリットをプレゼントするのか」を必ず冒頭で伝えるようにしています。ちょっとしたことですが、この一言が入っているかどうかで、聴衆に対し、メッセージの響き度合いが大きく変わってきます。

以前、ある外資系スポーツ用品メーカーの店舗開発責任者がその直営店の店長100名を前にプレゼンをするということでお手伝いをさせて頂きましたが、そのプレゼンの目的を聞いた所、「ある業績が悪かったお店に、最新の店舗開発ツールを導入した所、売上が大きく上げたのでその報告」だという。実際に準備して頂いたものをやって頂いた所、

「みなさんこんにちは。**の**です。今日は新しく開発された**という店舗開発ツールを**店に導入しましたのでその報告をしたいと思います」

という形で入っていました。これだとWIIFMが入っていません。聴くメリットが分からないとどういった姿勢プレゼンを聞いていけば良いか分からない。そこで次のようにWIIFMをいれて、冒頭を変えて頂きました。

「**、聞いたことがあるという方はいますか?これは過去、お客様の店内での行動を分析して、いかに商品を買ってもらうように最適な店舗レイアウトを考える為に開発されたツールで、ちょうど半年前に売上未達で苦戦されていた**店で導入した所、わずか3ヶ月で前年同期比2割売上アップをしました。(間)今日は**店さんがいかにこのツールを使い、売上を伸ばしていったかのお話を通じて、皆様の店でどのようにしてこのツールを活用出来るか。何かしら気付きやアイディアを得てもらい、実践して頂けるとうれしいです。」

このように変えると聴き手は、自分のお店のことを想像しながら、「使えるアイディアはないか?」という姿勢で聞けますので、そこ一点に集中し、リラックスして話を聞くことが出来ます。

先日、群馬大学の医学部、理工学部、教養学部の3キャンパスで「研究活動に役立つプレゼン 〜日本語でも英語でも基本は同じ〜」というお題で講演をしてきました。そこでもきちんとWIIFMを冒頭で伝えました。

医学部は大学病院のお医者さん向け、理工学部・教養学部は学生・大学院生向けでしたので当然オーディエンスが違えばWIIFMも変わってきます。お医者さんは実際に学会発表されている方が多いと聞いていたので、こんな形から入りました。

「昨年の春、ある外資系製薬会社から連絡があって、『大塚さんね、今度新しい薬を出す』と。そこで『ここ数年お医者さんに色々と研究してもらった。で、今度学会でそれを発表してもらうのでそのプレゼンのコーチングをしてもらえないか』と電話があり、私はビジネス界の人間で医療は全く分からない。『無理です』と断ったのですが『逆に医療に詳しくない人の方が違った視点で見れる。だからこそお願いしたい』と言われたので『だったら少しはお手伝いになれるかも』と思い、14名の**科のお医者さんにほぼマンツーマンでコーチングを行いました。お陰様で**という病気、相当詳しくなったのですが、驚いた所が2点。(中略)。皆さん大体同じようなアドバイスさせて頂きましたので、今日はそれをシェアさせて頂き、先生方の次の学会発表で少しでもお役立てていただけるとうれしいです。」

と。大学生・大学院生はプレゼンする機会が少ない、苦手意識が強いと聞いていましたので

「信じてもらえないかもしれませんが、私6年前までプレゼンが大の苦手で、MBAに留学時代もとにかく逃げ回っていた。結婚式で友人代表のスピーチ、結構お願いされましたが、大抵は前日まで全くアイディアが思いつかず、前日ギリギリになって深夜デニーズに出かけて明け方まで頑張ってとにかく原稿を仕上げる。そして当日玉砕。。。(ここで共感出来る失敗談を入れる)

そんな中、2008年のリーマンショック時に会社が潰れそうになった時に一本の電話がかかってくる。『プレゼンの講師をして欲しい』と。『えー、私のプレゼン見たこともないのに何故?』と聞いてみた所、『ある外資系アカウンティングファームが日本語のプレゼンの講師を探していて、いろいろと条件を出して来た。男性で、バイリンガルで、MBAを持っていて、金融で働いた経験があること。合致する人で時間に自由が利くのは大塚さんくらいしか思いつかない』と。ここまでスペックを要求する以上報酬も高い。背に腹を変えられず受けることにしました。

いま考えればプレゼンの苦手の人にプレゼンをして欲しいと頼むのならまだしも、プレゼンの苦手な人にプレゼンの講師をして欲しいなんておかしな話。講師がブルブル震えていたらシャレにならない。そこで世界中からプレゼンの本やビデオを取り寄せて勉強した。(中略)そこで分かったことはプレゼンがうまくいくかどうか、その9割は壇上にあがる前に、決着がついていること。それには準備が非常に大事。ただ、ほとんどの方はこの準備の仕方を知らない為、出た所勝負になってしまい、失敗するケースが高い。準備の行い方さえちゃんと分かれば9割は決着がつきますので、自信を持って臨むことが出来る。

今日は特にこのプレゼンの準備方法についてお話しをさせていただき、『あっ、これだったらわたしにもできるかも』、『これだったら挑戦してみよう』と思って頂けるとうれしいです。」

と入りを変えました。ここで一般的に

「今日は研究活動に役立つプレゼンということで、次のようなアジェンダでお話をさせて頂きたいと思います」

とWIIFMを入れずに話し始めるケースが多いと思いますがそうすると、聴衆の聞く姿勢が整わないまま、話が進んでいってしまいます。すると聴衆が途中でTune outしてしまう可能性が高い。

WIIFMはそんな長くすごいことである必要はありません。複雑なエクセルシートを使った財務報告しなければいけなかったら

「こんな細かい財務データを送られて来てもどこを見たら良いか困ってしまうと思いますので、皆様の時間をセーブするという意味でも、送る前に概要を簡単に説明させていただき、より詳しく知りたいという方は後でそのデータを見ていただければと思います。」

と一言言ってあげるだけでも全然違う。これは英語だろうが日本語だろうが変わりません。良く「結論を先に言え」といいますが、この結論(目的)に一言WIIFMを添えてあげると聴衆に対し、”I care (私はあなたのことをちゃんと考えていますよ)”が伝わりますので、あなたの話に引込まれる可能性が高い。

今度プレゼンを聞きにいかれる方は冒頭でWIIFMが入っているかどうか、意識して聞いてください。入っているものと入っていないもの、比較してみるとその違いの大きさの違いに驚くと思います。

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Posted by Masafumi Otsuka

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