超優秀なプレイヤーは出世させてはいけない

超優秀なプレイヤーは出世させてはいけない


talented employeeピーターの法則というのをご存知でしょうか。

人は自分が能力が発揮できない地位まで出世させられ、やがて組織を去っていく

というちょっと皮肉めいた法則で、例えば営業で大きな実績を上げた人が、営業部長に出世する。すると今度は営業力ではなく部下の管理する力が求められる。しかし、このスキルを見込まれて出世したわけではない。自分では数字をあげられるが、自分のやり方を押し付けても、人が違う以上、うまくいかないケースが多い。しかし、一度得た地位を下げ、元の一営業員に戻るのは敗北宣言。どんなことをしてえも現在の地位にしがみつこうとする。そして辞めさせられる(日本の企業の場合、周りを不幸にする)。

仮にプレーイング・マネージャーとして営業を続け、実績を上げたとする。すると今度は支店長の地位に出世させられる。今度こそ、人事・財務・会計・広告等、全く知らない分野を管理しなければならず、人を管理するスキルが求められる。しかしそういうスキルが見込まれてそのポジションについたわけではない以上大部分がうまくいかない。しかし給与を含め、上がった社会的な地位、プライド、家族・親族を含めた期待を考えると地位を下げるわけにはいかず、前述通り、逆にその地位にしがみつこうとする。そして辞めさせられる。

ピーターの法則は出世先で求められる能力とは違った能力を基準に出世する人は決まっていくという皮肉で、優れた野球選手は良い監督にならないなど事例はいくらでもあると思います。

First Break all the Rulesこのピーターの法則。このブログで何回か紹介している私が考えるGlobal Talent Managementのバイブル的な本、「まず、ルールを破れー優れたマネージャーはここが違う」の中で出てきた話で、

「優れた実績を持つ社員に対するご褒美」=「出世させること」と単純に考えるのは、健全で持続的な成長を求める組織運営にとって害となるケースが多い

といいます。そしてマネージメント層の大切な役割として:

どんなに実績を残した社員が出世を求めても、マネージャーの大切な役割はその社員が一番成功するチャンスのある道に導いてあげること

そして以下面白い実例を通じてこれを解説します。

優れたバーテンダーの特徴は何か。それは顧客の顔と名前をより多く覚えるだけではなく、その顧客のいつも注文するお酒まで覚えていること。そこであるマネージャーは100 Clubというのを作り、100名の顧客と顔、名前、いつも注文するお酒を覚えたバーテンダーにはトロフィーとボーナスを与える仕組みを作った。

ここで面白かったのが、ここで100 Clubを達成した優秀なバーテンダーを出世させず、

次に500 Clubを作り、これに伴い、給与を上げ、表彰する。当初これを思いついたマネージャーは500 Clubが限界だと思ったらしい。しかし追求してみたら、5年後に3,000 Club、つまり3,000名の顧客の顔、名前、いつも注文するお酒を覚えたバーテンダーが出てきた

と。100名で凄いと言われるバーテンダー業界の30倍の数。30人のこうした優秀なバーテンダーを雇うより遥かにコストが安く大きく売上に貢献すると考えると30倍以上の生産性を上げています。この人を100名覚えた段階で出世させてしまい、管理側に回し、うまくいかず去っていかれ、本人はすっかりと自信をなくし、お店は大きく売上を落とす、Lose-loseな状況に陥いる可能性があったと考えると、恐ろしい。3,000名覚えるポテンシャルを持っていたと本人も気づいていなかったことは容易に想像でき、これを導いてあげたマネージャーも凄いと思います。

当然このバーテンダーはマネージャーと比べ高い給与をもらっていたらしい。

優れたマネージャーは自分より高い給与をもらう可能性のあるポテンシャルの高い部下を喜んで雇う

つまり、マネージャーは主役ではなく脇役に回って、自分の部下が自分でも気づいていない能力を発揮し、より高いパフォーマンスをあげるようにサポートしてあげる。マネージャーは高くパフォームする能力というよりは、こうした高い能力を持つものを活用する能力が求められる。

「肉親や自分の周りの人たちに喜んでもらおうと、努力をして、出世を求めざるを得ない現代社会の仕組み。そしてそれがその人をダメにするのではないか」というこのピーターの法則。

あまり変化のない、社会が安定していた時代ではその副作用は許容出来る範囲にあったかもしれない。しかし変化のスピードが速く、どんどん複雑化する時代の中、この現代社会の仕組みは大きく時代遅れになるばかりか、取り返しのつかない問題に発展していくかもしれません。

参考記事
バランスは取れていない方が良い
優れた従業員は会社を去るのではなく直属の上司を去っていく


Posted by Masafumi Otsuka

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