仕事で何を求めているか明確に説明していますか?
昨年夏に書いた「優れた従業員は会社を去るのではなく直属の上司を去っていく」というブログ記事。多くの日本の大企業の優秀な外国人社員の離職率の高さに悩む中、優れた従業員を探し、高いパフォーマンスを継続的に引き出し、繋ぎ止めている為に、世界で最高峰と呼ばれるマネージャーが絶えず自問自答している、12の質問を紹介しました。
この記事、私のブログには珍しく、大きな反響があり、SNSなどで沢山コメントをいただいたり、色々な方よりご意見ををいただき、大変勉強になりました。多くの日本の大企業の優秀な外国人社員の離職率の高さに悩んでいるのがよく伝わってきました。
そこでシリーズ物(と言っても続いた試しはありませんが)に再度挑戦!12の質問を一つずつ、時にはバンドルして、私なりに考えていきたいと思います。
今回はQuestion 1。「仕事で自分に何を求められているか明確に理解できているか」について。
「これくらい説明しているよ!」という声が聞こえてきそうですが、以外と「明確に」が説明できていないケースが多い。仕事内容(What)を説明するのを当然として、何故(Why)その仕事が大切なのか、さらにもう一歩踏み込んで、その仕事をすることによる従業員のメリットは何かまで説明しているケースは非常に少ないと思います。
例えば先日行ったGlobal Project Management研修。部署毎にチームを組み(全10チーム)、それぞれ予算US$400を与え、Freelancer.comという世界中のアーティストに仕事を発注できるサイトを使ってもらい、3ヶ月以内にグループ企業の外国人社員向けに、自部署のリクルティング用のアニメを作るコンテストを実施(詳しくはこちらをご覧ください)しました。
私はこのプロジェクトを統括していましたので、実際に各チームが雇った脚本家・声優・アニメーターと話していたのですが、どのチームもこのプロジェクトが【10チーム対抗のコンテスト】であることを伝えていない。単純に仕事を依頼するのと「一緒にいいものを作って勝ちたい!」と一言添えるだけでもアーティストのモチベーションは大きく変わります。
これは
- Question 8
会社のミッション・目的に沿ったインパクトをしっかりと与えていると感じるか
にも被ってきますが、具体的な仕事内容よりも、この仕事が全体のプロジェクトの中でどういった位置づけにあって、どう役に立っているのか。ちゃんと全体の絵を説明してあげないと勿体無い。優秀なタレントは絶えず成長する機会を求めているので、こういった”I care”という姿勢を絶えず見せてあげないと去っていきます。
これは何もレベルの高い仕事に限る話ではありません。昨年秋頃から急に仕事量が増え、私の秘書のKathrina(フィリピン在住)がパンクしそうになっていたので、彼女と話し、彼女の下に新たに秘書をつけることにしました。秘書に秘書をつけてあげました(笑)。
仕事内容はスーパー単純。週1回、合計80ページ位(A4サイズ)のテキストを色付けする作業。いまちょうどGlobal Discussion研修を行っていて、週1回(全8回)の各回2時間、研修中で行ったDiscussionが全てビデオ撮りされ、後日全て文字起こしされる。そこに私のコメントを書き込むことによって、Discussionのスキルを学んでいただくわけですが、参加者は自分の発言量や自分が発言した箇所をすぐに見つけられるように、後日仕上がってきたスクリプト(文字起こし)に参加者毎の色をつけてもらっています。
新しく雇った秘書は別の日本人向けオンラインビジネス英会話の講師も兼業していると聞いたので、どうせだったらこの仕事を通じて彼女のキャリアアップにも役立てて欲しい。そこで、このGlobal Discussion Courseとはどういう目的でやっていて、何故スクリプトを起こすのか。授業のビデオを見せてあげるとともに、色付けされた後の工程しっかりと説明し、
ビジネス英会話をある程度出来るようになっても、その次のステップで多くの日本人がこのDiscussion Skillが身につけられず苦労している。このDiscussion Skillはあなた自身、今後のキャリアに役立つスキルになる。だからスクリプトの色付けは仕事として当然やってもらうが、ビデオも共有するので可能な限り見て欲しい。
と伝えました。これは
- Question 5
上司や仕事仲間は自分を一人の人間としてcareしてくれているか - Question 6
社内に自分のスキルアップを後押ししてくれる人がいるか
も被ってきます。
良いタレントを長期で残って欲しい。だから「仕事で何を求めているか」をより深いレベルで説明する。それでも優秀なタレントはより良い成長する機会が現れたら去っていきます。これは仕方ない。「これだけ教育してあげたのに…ガッカリ!」という話は良く聞きますが、逆に他社でさらにスキルアップし、将来戻ってきてもらえれば、お互いにとってプラスになると私は考えるようにしています。言うは易しですが…
関連記事
優れた従業員は会社を去るのではなく直属の上司を去っていく
超優秀なプレイヤーは出世させてはいけない
Google+