世界中のアーティストとガチでコラボ。失敗を通じて学ぶグローバル研修
サントリー食品インターナショナルさんで9月にキックオフしたGlobal Project Managementを学ぶ研修、先日無事に終わりましたので今回はその報告です。
この研修、「グローバル人材育成」・「自立型人材育成」を手がけるグローバル・エデュケーションさんと一緒に企画し、行ったもので、以下のように設計しました(詳しくはこちらのブログ記事をご覧ください)。
- 部署毎に5名を選出し、10部署対抗のアニメ制作コンテストを行う。
- アニメのお題は「海外のグループ企業の外国人社員向けに2分以内の自部署のリクーティング(Internal Hiring)用のアニメを作る」こと。
- アニメはFreelancer.comという世界中のフリーランサーに仕事を発注できるサイトを使い、脚本家・声優・アニメーターを雇いながら、一緒に作っていく。
- 各チームの予算は$400以内。期日は3ヶ月以内。
こうしたことを通じて:
コミュニケーション力・コラボする力・Creativity・予算、管理能力・交渉力・人材を目利きする力・テクノロジーを使いこなす力
などスキルを身につけていくわけですが、これ、簡単そうに見えて(←見えないかも・笑)、相当難しい。私も過去色々な仕事を発注してきましたが、ことアニメに関しては何度か失敗しました。
自分はきちんとイメージを伝えたつもりでも、相手は全く違う解釈し、依頼していても全く違うものが仕上がってくる。修正させようとすると、「それは当初の契約に入っていない(←これ、大体起こります)!」とお金を上乗せで請求されたり、突然音信不通になってモノが仕上がってこなく、すべてやり直す羽目になる。本当に、何が起こるかわからない。
こっちがお客だからいうことを聞くと思ったら大間違い。同じ日本人に仕事を依頼する感覚で曖昧な仕事の発注の仕方をし、後でこれもあれも追加する方法でやると、すぐに痛い目にあいます(笑)。
以下PR(広報)部が作ったアニメ。英語は早口でわかりづらいと思いますが、サントリーさんらしい雰囲気は出ています(笑)。
このチーム。すごくチャレンジしていましたので、注目して見ていましたが、相当苦労されていました。一番初めに雇った脚本家は途中で逃げられ、次に雇った脚本家はイマイチのため、お金を払うも上がってきた脚本をボツにする。3番目に雇った脚本家でようやく使えそうなものが出てくる。その後アニメーターを雇い、絵コンテを作ってもらい、当てはめてみたらどう考えても4分以上のアニメ(条件は2分以内)になってしまう。
さらにあがってきた白黒の絵コンテは、当然後で色付けしてくれると思いきや、それには追加料金がかかるという。またナレーションもそのアニメーターと握れていたと思ったら握れていなかったことが判明。この段階で相談を受けたので「最悪白黒でも良いのでは?」とアドバイスさせていただきましたが、最後に何と$10で色付けをしてくれるアーディストを探し、ここまでのものに仕上げた。時間・予算を多少オーバーしましたが、「よくぞチャレンジしてくれた!」と感心しながら見ていました。
「何が一番の学びだったか?」と聞いたところ:
- 人選びは絶対に妥協してはならない。メールやチャットではなく、ちゃんとビデオスカイプでインタビューをし、「この人で良いかも」ではなく「この人で間違いない」という確信を持つまで雇うべきではない
- 雇う前に、この契約のカバーする範囲はどこまでか、細かい部分までしっかりと交渉して、クリアにしておかないとダメ。
- 実際のアニメ制作過程はメールベースでお願いするのではなく、きちんとビデオ会議で相手を見ながら細かいニュアンスを伝えないとイメージ通りのものが仕上がってこない。ダイレクトコミュニケーションは本当に大事。
と。こうしたことはどんなに本やこうしたブログ記事を読んでも、実際に体験して痛い思いをしないと絶対に身につきません。そういった意味で、素晴らしいLearning Experienceになったのではないかと感じました。
こうした不確実な要素だらけの研修。日本の大企業ではまず稟議が通らない。確実でScriptedな研修が要求される。普通だったらこういう研修をやってみようと思う日本企業は少ないと思います。そういった意味でさすがは「やってみなはれ」をモットーとするサントリーさん。こうしたユニークでどこもやったことのない研修を実際に取り入れた上に、「大塚さん、これ宣伝していいよ!」とまでいってもらえる。
ということで過去誰もやったことのないようなユニークだが、よりリアルビジネスに近い研修・プロジェクトをやってみたいと考えているちょっと変わった(失礼・笑)人事の方や事業部の研修担当者さんは是非support@manabi.stまでご連絡ください。何か面白いことやりましょう!
参考記事
パキスタン人に1万円強で凄いアニメを作らせました
Global Project Managementを学ぶスパルタ研修
いま、パキスタンがアツい
ちなみに私が満点をつけたアニメもついでに紹介します。財務部が作ったもので、ここは運良く(失礼!)、ものすごいスキルと高いコミュニケーション力を持った脚本・ナレーション・アニメとなんでも出来るスーパーアーティストの採用に成功。予算の半分($200)でこんなプロ仕様なものを作ってしまいました。
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