社会の変化するスピードが人間の対応出来る速度を超えた時

社会の変化するスピードが人間の対応出来る速度を超えた時


Thank you for being lateここ数年、「社会の変化のスピードにうまく対応できたいない」と感じながらも、その原因をうまく特定できず、モヤモヤしていました。ちょうど、「フラット化する世界」の著者、Thomas Friedman氏の最新書、Thank you for Being Lateを読んでいたところ、「なるほど、そういうことか。。。」と感じた箇所を発見。Friedman氏曰く(いつも通り、大塚のスーパー意訳です。ご了承ください。)、

過去数世紀に渡って、人間は変化に対応出来るスピードを徐々に上げてきた。1000年前までは人間が何か新しい生活慣習を身につけるのに2-3世代(約100年間)もの時間を要したが、1900年以降1世代(約30年)位に、今では10〜15年で対応できるまで変化に対する対応力を上げてきた。

と。例えば車が馬を置き換わったプロセスも、一気に量産化された車が道に溢れてかえることなく、その安全性を確かめる時間があり、それに応じて交通規制を作ったり、高速エンジンが開発されると、それに応じて高速道路も開発されるたりするなど、新しいものが浸透していくスピードは常に社会が吸収できる範囲内に収まっていた。

しかし、 2007年(iPhone元年)以降、変化のスピードが加速。人間が新しい生活様式に対応するのに10-15年有する中、いま社会を支えるテクノロジー基盤が5〜7年で完全に入れ替わることがあちこちで起きている。

といいます。例えばシェアドエコノミーの代表格である配車アプリのUBER社。車を持っていて一定の条件を満たせば誰でもタクシーの運転手になれる。運転手も利用者も使うのはスマホのみ。UBERアプリを通して拾ってもらう場所を指定、行き先を指定した瞬間に最適なルートまで計算してくれる。支払いもスマホを経由したカード決済なのでお金を出す必要がなく、乗って降りるだけ。世界中でタクシー業界を敵に回しながらも、うまく規制の網をかいくぐって、わずか6年で81カ国、581都市で、毎月4,000万人利用する(2016年9月)サービスまで成長*1。

UBER2UBERは日本では規制の関係であまり見かけませんが、そのCEOのKalanick氏曰く「我々は交通規制が確立していない国に真っ先に入って、規制される前にビジネス展開をしていく」ことで急成長してきたと。そして、こうしたUBER社を代表とする、シェアドエコノミーに対する規制をどうするか、いま各国で一生懸命議論していますが、その間、UBER社は自動運転の技術がほぼ完成していて、既に一部都市で実験している*2。さらに先月、NASAから有名なエンジニアを雇い、空飛ぶ車を開発すると発表。3年以内に商品化を目指している*3という。何なんだ。このスピード感。背筋がゾッとしてしまう。

フリードマン氏によると、いま、ロボット手術、ゲノム編集、クローン、人工知能など、あらゆる分野でこうしたことが起こっているらしい。そして例えその分野の専門家であっても10年先、自分の業界がどう変化しているか、見当もつかないとのこと。

新しいテクノロジーを生活に取り入れるのに10-15年かかる中、テクノロジーが5〜7年で入れ替わってしまう。社会がその技術のリスクを含めた用途を理解してルール(法律)に落とし込もうととしている間に、その技術自体が時代遅れになってしまう。これが世界中の人々に大きな不安を呼び起こしているといいます。

そんな時代と個人として、どう付き合っていけば良いのか。フリードマン氏の考える解決方法は別の記事に譲るとして、「本当にそんな簡単にいくのか?」と同氏のあまりに楽観的な解決案にモヤモヤ感、さらに強めてしまいました…

参考文献
*1 http://uberestimator.com/cities; Travis Kalanick says Uber has 40 million monthly active riders
*2 The Economist: Uber From zero to seventy (billion)
*3 NASA Engineer Hired to Work on Uber’s Flying-Car Project


Posted by Masafumi Otsuka

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