2重人格を演じる
“…a language is not just a body of vocabulary or a set of grammatical rules. A language is a flash of the human spirit. It’s a vehicle through which the soul of each particular culture comes into the material world.”
–Wade Davis (人類学者)
どうも私の周りに竹中平蔵さんが嫌いな人が多い。しかし周りの外国人に聞いてみると、彼を悪くいう人は少ない。日本について書かれた海外の新聞や雑誌の記事には彼のコメントがよく引用されています。
「あいつ、何なんだ。欧米人かぶれしやがって。」こう言われる人を良く見かけます。私も一部の人にきっと言われているに違いません。特に帰国子女や国外でMBAなど留学された方や、外資系企業に勤め始めた方がこうして言われるケースが多いように感じます。12歳で帰国し、「彼は外人だから」といわれるのが嫌で嫌でたまらず、一生懸命日本社会に溶け込もうと努力してきた私としてはこれを聞く度に心が痛みます。
中学1年生の時は帰国子女しかいないクラスにいたので気になりませんでしたが、中学2年以降、常に日本社会に入っていけない疎外感を感じていました。高校時代は帰国子女であることを隠そうとしていました。当然英語の授業では発音を日本人訛りに変える。正直16歳から留学する28歳までまともに英語を話した記憶がない。
そういうと「嫌味な奴」とか「何で?帰国子女とは羨ましいのに」と言われますが、そういう人達は子供の残酷さをまるで分かっていない。「出る杭は打たれる」、これは大人の世界より子供同士の世界の方が遥かに厳しい。大人は所属する組織(会社)を辞めることができます。対して子供には逃げ場がない。変に目立たぬよう、細心の注意を払って過ごしてきました(周りにはそうはみえてなかったようですが・笑)。これは何も私だけではなく、私の周りにいた多くの帰国子女も同じように何とか日本社会に溶け込もうと必死でした。
だからこそ、大人になって留学や海外赴任などをして、すっかり海外で学んだやり方、身につけたマインドのまま日本社会で突っ走ろうとする人や「だから日本人はダメなんだ」と日本人を見下す態度を取る人を見ると、非常に残念に思ってしまいます。「うまくバランスとろうよ」と。
冒頭の引用。これはWade Davisという人類学者がTED Conferenceで語った言葉で、いつも通り、スーパー意訳しますと、「言語というのは単純に語彙や文法の集合体ではない。言語とはそれを使用する民族の精神・文化(・価値観の全て)を表す鏡である」と。この彼の言葉に大きなInspirationを感じます。
最近講演やセミナーでグローバル・コミュニケーションについて話す機会が増えてきましたが、常に「日本用と英語用の顔を両方持つべき」といっています。これはどちらが正しいとか間違っているとか言っているのではなく、「言語が民族の精神・文化を映し出す鏡」である以上、使用する言語の「精神・文化・価値観」をしっかり理解した上でマインドを切り替えて使わないといけません。
「自分達の精神・文化・価値観」をベースに他言語を、又は自言語を「他言語の精神・文化・価値観」をベースに使用すると大火傷します。これだけは身を持って体験しましたので自信を持って言えます(笑)。
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