May 15
2012
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溢れんばかりの才気
It’s difficult (to play with her) in a sense that it’s so natural and it doesn’t daunt on her that we mortals have difficulty following her… but it’s that difficulty that makes the music so interesting and adventurous.
-Daniel Barenboim
-Daniel Barenboim
友人で音楽家の永井千佳さんが昨年書いたブログ記事「薄幸な運命が天才を開花させる」を読んで以来、天才チェリストで若くして亡くなられたジャクリーヌ・デュ・プレ氏にすっかりと魅了されています。最近ではセミナーや講演を行う前に必ず永井さんがその記事内で埋め込んだデュ・プレ氏のライブ演奏を聞いて心を落ち着かせています。
私は中学時代、音楽の成績はずっと2でしたので1だった美術よりは少なくとも倍の才能があります(笑)。ですから今回は自信を持って音楽について熱く語りたいと思います。
デュ・プレ氏が奏でる音には全く迷いが感じられない。「どーん!」と力強く入ったと思ったら、そのまま一気に最後まで聴かされてしまう。全く間延びしない。すごいstory tellerです。
今までクラシック音楽に興味を持ったことはないし、たまに聞くことはあってもここまでinspireされた記憶がない。何が違うのだろう。。。先週、たまたまyoutubeで見つけた彼女のドキュメンタリー(最後に埋め込みます)をみて、ちょっとした気付きがありました。
冒頭の引用。これは同ドキュメンタリー内で、彼女の夫で指揮者のダニエル・バレンボイム氏が語っていた言葉で、いつも通りスーパー意訳しますと
「彼女の演奏を指揮をするのは本当に難しい。本番中に自然と(リハーサルとは)違った解釈で(自由に)弾き始めるため、我々一般人は(その場で)それに合わせ、必死についていかなければならない。。。でもその難しさが音楽を一層深め、何か冒険に出ているようなワクワク感を与える」と。
本人は全く意識していないらしい。恐らくその瞬間瞬間無意識に聴衆、楽団、劇場が出しているオーラを感じ取り、そこに大きな化学反応を起こせないか、その良さを最大限に引き出そうと勝手に動いてしまう。すると聴衆を含め全員で一つの作品を作り出している気分になり一気に引き込まれる。
以前読んだ”Art & Fear(David Bayes & Ted Orland)“という本に「一流な画家は過去描いた絵と全く同じものは二度と描けない。例え同一の環境を揃えたとしても、本人の感性やその場の空気、取り巻く世界が変わってしまっているので同じものを見てもキャンバス上には全く違った答えが浮かび上がってしまう」と書いてあったのを思い出し、何だかデュ・プレ氏に通じるものがあると感じました。
もちろん抜群な技術力の裏付けは必要でしょうが、それ以上に彼女の卓越したsensing, improviseするスキル。一期一会ではありませんが、何が起こるか分からないワクワクする状況作り、周りの自分でさえ気付いていない才能を引き出し、より高い次元に連れて行く。こうした溢れんばかりの才気を彼女に強く感じます。そこに私は大きくinspireされます。
まあ、あくまでも音楽の成績が2であった私の勝手な感覚ですが。。。
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