ちょっとマニアックな例を通じたレポートになりますが、今回はちょっとでも油断するとネット系ベンチャーは一気に凋落するのではという体感報告です。

私は5年前にFreelancer.comというサイトをはじめて使って以来、世界中の人たちに仕事を安価でお願いできるこのグローバルクラウドソーシングにすっかりと魅了されてしまい、いまでも常時１０名以上、秘書をはじめ、グラフィックデザイナー、ウェブエンジニア、ジャーナリスト、文字起こし等、抱えておりますが、ウェブの使い勝手の良さと応募してくる人材の品質の高さを考え、Freelancer.comをやめて、ずっとoDesk（現Upwork）を使っていました。

簡単にグローバルクラウドソーシング事情を説明しますと、公称300万人以上フリーランサーの登録のあるサイトはoDesk, Elance, Freelancer.comの３サイト。2013年末にoDeskとElanceが合併するという話になったので、このグローバルクラウドソーシング戦争も勝者がoDesk + Elance連合で決まりと思っていました。

さて、oDesk + Elance連合の名称はUpworkと変わり、Job postingに対する応募も一気に増え、システムも使いやすくなると思いきや、どうもここ１年くらい、逆に一つのJob postingに対して、応募がどんどん減ってきている。例えば２年前にoDeskで15名は集まっていたスケッチ・アーティストの募集をUpworkに４ヶ月前に出したところ３名しか応募がない。

ちょうど先月キックオフした以前ブログで紹介しました『GLOBAL PROJECT MANAGEMENTを学ぶスパルタ研修』を設計する際、求めるアーティストの数と質が果たして集まるのか不安になり、oDesk (現Upwork)とFreelancer.comに同じ時期に全く同じJob Postingを出してみました。

結果：
Upwork: 11名（出した応募はこちら）
Freelancer.com: 34名（出した応募はこちら）

人数が減っても質が高ければ問題はありませんが、実際に面接してみるとそんなに変わらない。明らかにFreelancer達のUpwork離れが起きている。面接中、フリーランサー達に事情を聞いてみると、どうやらシステム統合する際、過去雇い主とフリーランサーがoDeskのシステム上で行った全てのメールのやり取りを調査したらしく、サイトを介さないPaypalなど決済サイトを通して支払いを示唆したり、少しでも怪しい行動をしたフリーランサーを一斉に取り締まり、一定の期間アカウントブロックするという行動をとったらしい。

以前、常時仕事をお願いしていたフリーランサーに「何で10%の手数料を取られるoDeskより、手数料が安く、実入りの良いPaypalで払って欲しいといわないの？」と聞いたところ、「oDesk hours（実際に何時間oDesk上で働いたか、公開プロフィールに表示される）を積み重ねたい。ここでキャリアを積めば時給も上がっていき、雇われやすくなる。」といっていたので、以前のoDeskは残りたいと思わせるインセンティブ、顧客体験を与えていただけにもったいない。「もう２度とoDeskでは働かない！」と言っていた人も何人かいました。

さらに、システムを統合が未だにうまくいっていないらしく、システム統合を正式にアナウンスしながらも未だ旧Elanceのサイトも存続している。試しにそのElanceのサイトにも同じJob Posting（出した応募はこちら）を出したところ驚くべき、２１名応募がありました。もう閉じますというアナウンスをかけている旧サイトの方が稼げているのではないかと疑ってしまいます。

いま、Global Crowdsourcingはクリエイティブ系はFiverr, データサイエンス系はkaggleなど専門サイトが色々と出来てきています。

Upworkはアプリ対応も遅れていて、未だにアプリ上ではメッセージのやり取りしかできなく、Job postingからプロジェクト管理もできるFreelancer.comと比べ時代に大きく開発が遅れている。最近、誤った通知メールが届き出したところをみると、相当現場が混乱しているのではないかと思われます。

oDesk + Elance連合で決着と思いきや、逆に凋落していく。特にウェブ上のみでサービスを行っている会社同士のシステム統合は失敗すると恐ろしい現実が待っていることを体感。フリーランサー達は稼げればどのサイトでも良い。波のように一気にひいていきます。私はFreelancer.comの何かと理由をつけて手数料をもぎ取ろうという姿勢が未だに好感を持てないだけに、Upwork、復活してくれることを祈っています。