「イノベーション」と叫ぶも挑戦する人を罰する不思議な現象
Getzels-Jackson現象というのはご存知でしょうか。これは
トップが「イノベーションを起こそう!」と声を大にして組織内で叫んでも、実際にCreativeな発想を出した者、イノベーションに挑戦した者を罰する
という皮肉めいた現象で、最近読んだ「馬を飛ばそう」(Kevin Ashton著、原書:How to Fly a Horse )という画期的な発明やアイデアが生まれるプロセスを研究した本の中に出てきた面白い話。
1950年代に2名の学者が行った実験で
アメリカにある生徒全員が全米平均より上のIQを持っている進学高校、449名の生徒をまず、上位2割のIQ高得点者と上位2割の高いCreativeを持つもの(←どうやって見分けたかは不明)の2グループに分ける。
ところから始めたと言います。高いIQ層の中に高いCreative層はいなかったらしい。これは面白い。また、Creativeな生徒のIQを見たところ、そのほとんどがその学校のIQ最下位層に属していたとのこと。
Creative上位者はIQ上位者に比べ性格的に明るく、遊び心があり、行動が予想し難く、ルールに縛られないという特徴があったとのこと。
さらに面白いことに
Creative上位者はIQ上位者に比べ平均IQが23点低かったが、学業においてはIQ上位者と変わらないか、それ以上の成績を出していた
とのこと。そこで研究者たちは、
IQの低さというハンデを背負いながらも、高くパフォームしているCreativeな生徒達を先生方はきっと好んでいるに違いないと思い、先生達に聞き取り調査したところ、先生はIQ上位者は好んだが、Creative上位者は逆に嫌っていた
という結果を知って驚いたといいます。
これは何もこの学校に限らず、どの学校で実験しても同じで、98%の先生が、「『創造性』は大切で毎日教えるべき」と口ではいいながら、創造性を発揮しない生徒(IQ高得点者も含む)を好むと言います。
何もこれは学校だけではなく、大人の世界でも同じ。ビジネス界、アカデミック界、政界、どの業界でもトップはほとんどの場合、「イノベーションを!」と謳うも、実際に調べてみると実際にこうしたことに挑戦するCreativeな人は評価されない。
何故このようなことが起きるのか。著者のアシュトン氏曰く
遊び心があり、ルールに縛られず、行動が予測できないCreativeな人ほど『管理(control)』するのが難しい。トップが「柔軟な発想が欲しい」と本気で思っていたとしても、その人が自ら「管理(Control)できる範囲内であること」が前提条件になっている。
ことに原因があるといいます。これが無意識にそうしているというから深い。。。
このGetzels-Jackson現象。組織がよりフラットなアメリカ内でいわれている現象だと考えると、ヒエラルキーの強い日本の組織はもっと強烈に働いているのかもしれません。
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