「遊び」の反対は「仕事」ではなく「うつ病」である

「遊び」の反対は「仕事」ではなく「うつ病」である


playEveryone loves innovation until it affects them.
- Saul Kaplan (Founder, Business Innovation Factory)

最近ある大企業で行ったデザイン思考、クリエイティブな発想法を学ぶ研修。折角なので新しいビジネスアイディアを考えるというリアルなワークショップに設計。まずIdeationという手法(詳しくはこちらの記事を御覧ください)を使い、新規ビジネスアイディアを沢山出してもらい、その中で、面白そうなものを掘り下げ、具体化していく。

ある程度具体化されたら、そのアイディアの号外新聞を作り、社内告知(もちろんジョークとして)
できれば面白いのではないか。ということで、Skypeを通じて世界中から新聞記者、グラフィック・デザイナーを用意。こうした人たちとコラボして(デザイン思考を学ぶ際、別業種の人とコラボする力が大事になります)号外新聞を制作するワークショップを設計しました。

この会社。株主向けのAnnual Report (年間決算報告書)の中で、”Innovation” “Creativity”という言葉が120回以上使っていたからこそ、こうした研修を設計したのですが、実際にやってみて、ちょっとした問題が出てきました。

ワークショップは非常にCreativeな雰囲気の中で進み面白いビジネスアイディアが沢山出てきました。そして肝心の号外新聞の中でバングラデシュからのグラフィックデザイナーに社長の写真を少しcreativeに加工したり、Skypeを通じて参加したイタリア人新聞記者の提案により、社長のユーモア溢れるQuoteを勝手に入れたりして、大変盛り上がり、かなり面白いものができたと思ったのですが、後日、出力されたその号外新聞をポスター届けたところ、「社長をそのように使うのは問題!」と秘書室からストップがかかり、社内に貼る許可が出ませんでした(悲)。

ここの社長は大変な人格者として有名で、グローバル感覚も研ぎ澄まされていると聞いていますので、恐らく、彼が見ていれば一発OKが出たと思いますが、周りの人達が社長に気を遣い、ダメになったと勝手に想像しています(笑)。

これは日本企業のみならず多くのグローバル企業を見ていて感じるのですが、結局「Innovation, Creativityが必要!」と大きく謳いながら、実際にそういったことをやろうとすると邪魔されてしまう。「何を遊んでるんだ。遊んでいる暇があったら真面目に仕事しろ!」という空気が企業にあり、これが社内に誤ったメッセージを発してしまい非常に勿体ない。

冒頭の引用:

自分が関わっていない間はみんな「イノベーション」が大好き!

と。ちょっとした皮肉を感じます(笑)。

昔と比べいま、ビジネス環境の変化のスピードが速すぎて、社員一人一人にどんどん負荷がかかっていて、余裕がなくなってきているのは良くわかります。しかし、常に新しいビジネスを生み出していかなければ、一気に置いていかれかねず、それには柔軟な発想が求められる。柔軟な発想は「遊び」がないとなかなか出てきません。この「遊び」を研究している(こんな研究あるんですね・笑)Stuart Brownという学者がTED Talks(最後に埋め込みます)の中で面白いことをいっていました:

「遊び」の反対は「仕事」ではない…うつ病である

と。鋭い!

私はグローバル・コミュニケーション研修、Ideation Workshopのファシリテート、現地タレントをどのようにマネージしていくかのコンサル 等、色々な形で主に日系企業のグローバル化をサポートしていますが、あまりに皆さん真面目すぎて、もう少し遊び心がないと、Innovativeなものは作れないし、そもそも精神衛生上よろしくないのではと思うことが多い。ましては現地の優秀なタレントも本社の人間が真面目一辺倒だと辞めていってしまいます。

組織にいかに「遊び心」を取り入れていけるか。この分野も今後追求していきたいと思います。ということでこうしたリアルなデザイン思考、クリエイティブな発想法を身につけるワークショップを考えている方は是非ご連絡ください。一緒にInnovation, Creativeな文化を社内で作っていきましょう!

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Posted by Masafumi Otsuka

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