あなたの脳は悲鳴をあげている
情報量が増えれば増えるほど人間のattention(集中力・注意力)は欠落していく。
- Herbert Simon, 心理学者
スマホが脳に与えている影響について研究したThe Smarter Screen: Surprising Ways to Influence and Improve Online Behavior (Shlomo Benartzi著)という本を読み終えましたが、これ、かなり面白い。
店舗型旅行代理店と現在のオンライン旅行代理店、どちらの方がコミッション(手数料)が高いか?
以前、店舗型旅行代理店が取っていたコミッションは10%程度だったらしい。そこにオンライン旅行代理店(Expedia, Booking.com, Kayak, Hotels.com等)が参入。オンライン旅行代理店は自動化されているし、固定費(家賃・人件費)がかからないず。スケールも出来るので昔の店舗型旅行代理店の半分(5%)も取れていれば御の字と思いきや、何とその2-3倍(10%-30%)のコミッションを取っているらしい。
脳は一秒に処理できる情報量には126 Bitsという制限があるとのこと(←具体的にピンと来ません・笑)。しかし、一秒間に身の回りに起きている情報量は1,100万Bits、その約8万倍らしい。つまり人間の脳は周りで起こっていることのほんのわずかなことしか処理できないらしい。
わかりやすい例えで、
キッチンの水道水から水を飲んでいる感覚で、消防ホーズから水を飲もうとしても、125倍の水圧では水は飲めないどころか、体ごと飛ばされてしまう。
同書によるといままさにそういう状況が、知らずと起きている。インターネットが急速に発達する前は、何か調べものをしようとした時、得られる情報量はまだ脳が処理できる範囲内に収まっていた。しかしIBMのデータ科学者が現存するデータの90%は過去2年間に作られたというくらいここ数年で一気にデータ量が激増。これをいまはPCよりも一段スクリーンが小さいスマホで処理する時代。小さい画面で、Hotel, Los Angelesで検索かけると1億9,300万件もヒットする。これだと消防ホーズから水を飲んでいるようなもので、脳は一気にショート。決断が出来なくなってしまうとのこと。
いま人間のattention(集中力・注意力)のmanageすることに対する価値が急騰しており、うまく情報を制御して、消防ホーズから水道水に水圧変換出来るノウハウを持つオンライン旅行代理店の存在感が高まり、大きくマージンを取れるになった。
ある研究によると人々の1日の双方向コミュニケーションの情報量(電話、e-mail, 手紙等)は1986年は新聞紙で換算すると2ページ程度だったが、2010年には新聞20誌分まで増えたらしい。
情報量が増えれば増えるほど人間のattention(集中力・注意力)は欠落していく。自ら当てはめてみても、以前だったら5分で済ませていた小さい作業でも、色々と調べていくうちに1時間経ってもまだ続けていることに気づくことが少なくない。Productivityが明らかに落ちている。どうするか。考えさせられます。
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