テレカンはやめた方が良い

テレカンはやめた方が良い


no_phone_conference英語でのテレカンや会議に参加するどころか、すぐに置いていかれてしまい何も発言できないで苦しんでいるTOEIC®高得点者が増えています。弊社では英語での会議で、しっかりと発言・貢献できるようなスキルを身につける企業研修を行っておりますが、大部分の方々は社内に最新のビデオ会議システムが備わっているのに、あえて海外とのやりとりをテレカンで行っていることに、いつも驚かされます。

テレカンはビデオ会議に比べ7倍難しい
私はほぼ毎日、世界中にいる誰かとSkypeによる打ち合わせをしていますが、その打ち合わせは必ず相手にビデオで登場してもらっています。テレカン(音声だけ)はまず行いません。ビデオでの登場を嫌がったり、ネット環境が悪くビデオで登場できない人達とは一緒に仕事をしません。

ある調査によると我々が5感を通じて情報を取り入れるとき、75%を視覚から、13%を聴覚から、残り12%を触覚、味覚、嗅覚で取り入れているといいます。

テレカンで会議を行うということは、聴覚のみでやりとりするので、75%(聴覚)の情報伝達手段を放棄して臨んでいるのと同じ。13%しか情報を取れない環境で会議に臨むのか、88% (75% + 13%)の環境で臨むのか、これだけでも約7倍コミュニケーションの取りやすさが変わってくる。ミスコミュニケーションが発生して、後になって全く違ったoutputが出てくるほど生産性の低いものはない。

「相手にしっかりと伝えて、相手も”Yes, I understand”といったのに全然違うものが仕上がってきた」という話は沢山聞きますが、コミュニケーションは双方向である以上、相手がきちんと理解していないことを確認しなかった自分にも半分は責任がある。

何故テレカン = 今までそうだったから
私でさえ、テレカンはハンデを感じ、避けているテレコンを英語力に不安を持ちながら7倍のハンデを背負いながらあえてテレカンを続けるのか。以前「なぜ人間は変われないのか」という記事で外部環境が変化しても人間の行動が変わらない要因として

  • 我々は何かその時の世の中の流れ、常識に応じてルールを作る
  • そしてそのルールを守る
  • 時がたち、当初ルールを作った前提条件が変わっていく
  • しかしルールだけが残り、我々はそれを守り続ける

これは何も日本人に限らず、相手も同じように考えています。昔からそうだったからいまでもやる。しかし、相手がnative English speakerの場合、圧倒的に日本人に不利を被る。いや、コミュニケーションは双方向なので生産性の面ではお互い損をします。

skype_conferenceビデオ会議にすれば、相手が理解できているかどうか、表情を見ていれば大体わかる。私は、相手の表情が動いていなければ
”Ummm. You looked confused… I probably didn’t explain it well, did I?”
とすぐにengageします。すると相手はどう捉えているのか教えてくれるのでミスコミュニケーションがすぐに解消される。逆もしかり。こちらが首を少しでも傾ければ、コミュニケーション力が高い人と話していれば、相手は必ず止めてくれ、もっとわかりやすく説明してくれる。
単語など分からないく、”excuse me”と止めようとしてもテレカンだと声がソフト過ぎて、相手が聞き取れずに流されてしまう可能性が高いが、ビデオ会議ではちゃんと手でシグナルしてあげればきちんと止まる。
例え5名でテレカンをやっているとして3名しかビデオで出れる環境にない場合でも、自分を含め絶対にビデオで出た方が良い。私は回線など、何らかの理由で相手がビデオで出れなくなったとしても自分だけでもビデオで登場するようにしています。自分しか出ていないと、全員私だけを見ますので、相手は完全に私のペースに合わせ、会議が進みます。
相手がビデオで出るのを嫌がるのではないかと思っている人が多いと思いますが、
“My English skills are poor. I would really appreciate it if we can do video conferencing instead of phone conferencing.”
と依頼すれば大抵の場合、断られることはないと思います。逆に”I care”が伝わり、相手も喜んでくれると思います。
最近シリコンバレーにあるベンチャー企業の日本支社と日本の大企業で同じGlobal Discussion研修を行いましたが、全く同じIT環境を持っている中、前者は会議は全てビデオで行っており、後者は全てテレカンで行っているのを見て、研修効果・productivityを考えて大きな差があるように感じました。
その大企業でいま、「テレカンはやめてビデオ会議にしよう運動」を展開していますが、あまり響いている感じがせず、残念に感じます。7倍コミュニケーションしやすいツールがあるのに、それは使わずに一生懸命英語力を上げる努力をしている。
テレコンは飛車角落ちで将棋を打つようなもの。「テレカンはやめてビデオ会議にしよう運動」、今後展開していきたいと思います。

Posted by Masafumi Otsuka

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