世界のトップクラスの大学教授はどう教えているのか
You begin with a puzzle–you get everybody puzzled, and tied in knots, and mixed up. Those puzzles and knots generate questions for students and then you begin to help them untie the knots.
来月より宇都宮大学で”英語発信能力”養成講座“という公開講座を、また今月よりある団体向けに「グローバルエンジニアに必要なビジネス感覚を養う」という講座を持つことになり、どうしたら効果的なLearningの場が提供できるか。いかにして伝えたいメッセージを感じ取ってもらえるか。いろいろとアイディアを膨らませております。特に後者は「ファイナンス」「財務諸表の読み方」「マーケティング」など毎回テーマを設定し、2時間でエンジニア向けにそのエッセンスを伝える新しい挑戦であり、ワクワクしています。さて、冒頭の引用。
誰が語ったかは書いてありませんでしたが、”What the best college teachers do(Ken Bain著)“という本からの引用で、大きく心に刺さりました。「まずは大きなナゾからはじめる。そしてナゾがナゾを呼び、複雑に絡まったヒモのような状況になっていく。そしてそのヒモを一つ一つ解いていく手伝いをしながらナゾを解明していく。」
ビジネススクール時代、本当に「勉強になった」と思った授業は全てこうした授業でした。とにかくはじめから終わりまで思考がフル回転。そして最後に「なるほど、そういうことだったのか(英語で言えば”A-ha moment”)」という瞬間が訪れ、飛び上がるほど興奮します。
いつ使うか分からないスキルを身につける為にPassive(受動的)に聞いているのではなく、いま話されていることが自分にとってどう役立てるかをずっと考えながら参加しているのです。
でもこういう状況を作るのは本当に難しい。もちろん「勉強になった」と思った授業は沢山ありましたが、ここまで思わせる授業は全体の2割以下だったように思います。日本の大学で受けた授業の中では数えるほどしかありません(そもそもほとんど授業に出ていませんでしたが・笑)。
今まで私の世代(30代後半)以前が受けてきた「先生=偉い人」が一方的に話し「分からないのは勉強不足の君たちが悪い」といわんばかりの授業は、がむしゃらに頑張れば報われた時代では良かったかもしれませんが、現在のような先の見えない、不確実な時代にはあいません。ハーバード大学で立ち見が出るほど人気のサンデル教授の言葉”Teaching is above all, about commanding attention and holding it.”が同書内で紹介されていましたが、まさに今、これが求められているように感じます。
今回の「グローバルエンジニアに必要とされるビジネス感覚を養う」というコース。ファイナンスでは「株価はどのように決まっているのか」という大きなナゾから出発しようかと考えています。そして(例えば)「今1億円現金でもらうのと毎月100万円を10年に渡ってもらうのとどちらを選ぶか」みたいな小さな質問からナゾ解きを全員で2時間かけて出来ないか。私はひたすら質問をしたり、交通整理をするだけで「はっはー。なるほどそういうことか」という大きな”A-ha moment”を作れないか。
そして主婦でも高校生相手でもこうした「感覚」を養う授業を全員参加の元、出来れば楽しいだろうなと思っています。「複雑なことを誰にでも分かりやすくシンプルに伝える」、きっとはじめは失敗するかもしれませんが、それもLearningだと思って楽しみながらやってみます。
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つい数日前、現在NHK教育テレビでサンデル教授の授業風景を紹介した「ハーバード白熱教室(毎週日曜日午後6時)」が行われていることを知りました。すでに6回目まで(全12回)終わっているようです。全て見逃してしまっており、残念に思っていたところ、今夜遅く25:15に第1回目、明日24日(土)25時05分から第2回目と3回目を、さらに日曜日午後6時から第4回目が再放送されるようです。いまから見るのが楽しみです。
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