ルーチンの仕事が危ない

ルーチンの仕事が危ない


future_of_jobs.jpg前々回「世界中のタレントを活用する」という記事で紹介しましたoDeskという時給単位で世界中のフリーランサー達に仕事を発注出来るサービス。今週号の英エコノミスト誌の特集記事”The future of jobs“に、同サービスは「今年の7月で250,000もの会社/個人が130万人のフリーランサー達(主にインド人と中国人)に対し、180万時間分の仕事を発注。前年同月比で倍増した。」と書いてありました。

何しろ同じ仕事を9割引でアウトソース出来る。(全て先進国が発注したと仮定して)時給換算1,000円でいけば、たった一つのサイトが一ヶ月で先進国の18億円分の仕事が奪われたことになります。同様のサイトfreelancer.comと合わせ、こうしたサービスが「従来の経済の枠組み、ルールを破壊させるgame-changer」になるのではないかとこの特集記事に書かれています。

私自身こうしたサイトを半年位前から使い始め、今ではちょっとした統計データの調べてもらったり、簡単なウェブ修正、ビデオのスクリプト化、翻訳などに使っていますが、使う度にその価格の安さと品質の高さに驚かされます。私が政治家だったらこうしたサービスにも輸入品同様に関税をかけないと、国内の雇用がどんどん奪われていくのではないかと危惧さえします。事実、私は今まで国内で発注していた仕事をこうしたサイトを通し国外に約10分の1価格でアウトソースしているわけですから。。。
同誌によると「インドでは国家プロジェクトとして今まで先進国がやっている仕事を20ものスキルに分類。2022年までに1億5000万人の国民を教育することを行っている」、また「中国は欧米の大学と競争出来るくらい教育インフラに投資している」と今後この流れを益々加速していきそうなことが書いてありました。
変わって、先進国。同誌によると、今時代の変化のスピードが早すぎて、求められている人材を育てるはずの大学側がついていけてない。アメリカでは高い失業率の陰に、仕事の募集はあるが、それがこなすスキルを持った人がいないというミスマッチが起きているという。すると需給の関係でこういった付加価値の高い仕事の賃金がどんどん上がっていく。現在Googleの新入社員(エンジニア)の初年度の年収がストックオプションや契約金(契約書にサインした時に支払われるボーナス)抜きで$151,000(約1,200万円)、3年前の提示額($85,000)に比べ倍近くなったといいます。
今後特に注意しなければいけないのは先進国に住んでいて「物理的にその場にいなくても出来るルーチン(日常的に決まっている作業・業務)の仕事」に従事している人々だといいます。こうした人々は自動化、グローバル化の流れの中でその多くが職を失っていくだろうと。そして今後の時代を読む3大キーワードとして”automation, globalisation, deregulation”が挙げられていました。automation(自動化)の例として、たとえ弁護士でも安泰ではないと。法律事務所が優秀な弁護士やアシスタントを使って探していた判例はいまやBlackstone Discoveryという会社の自動検索してくれる。deregulation(規制緩和)の例として、小売店大手のWalmartが簡易診察所をオープンしたため医師も免許だけでは高給は取れないと書いてありました。
「今やっていることは自分でないと出来ないことか」を絶えず問い、「仕事は絶対にルーチン化させない。常に新しいことに挑戦する」強い気持ちを持たないと「一気に取り残されてしまうのではないか」という恐怖すら感じてしまいます。
果たして日本語という言語の壁がどこまで防波堤になるのか。先が全く読めない、激動の時代が一歩手前に来ていることだけは間違いなさそうです。

Posted by Masafumi Otsuka

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