即答なんて出来なくても良い

即答なんて出来なくても良い


「何か聞かれたら即答出来ないとダメ。これが出来ないと頭が悪いと思われる。」
頭の回転の速い人は思っても見ないことを聞かれてもスッと何か思いついて、すぐ言葉に出てくる。私の周りには結構そういう人が多く、いつも「すごい」、「そうあるべきだ」と思っていました。
しかし先日ある外資系企業の人材育成担当者に「(英語で)いきなり何かを聞かれ、即答出来るような研修を作れないか」と相談され、ちょっとしたa-ha moment (気付きの瞬間)がありました。「別に即答なんて出来なくてもいいんじゃないか」と。
そもそも私にはいきなり聞かれて即答出来る頭の回転の速さを持ちあわせていません。特に考えたことのない分野での質問されたら即答なんてまず無理。考えが浮かんでこない。そのうち「やばい、何か言わなきゃ」と焦る。すると益々考えが出てこなくなってしまう。
考えてみたら日本人同士、日本語で話している時、余程相手が知識を持っていると確信がない限り直接質問(direct question)をすることはしません。特に目上の人と話しているときは要注意。相手が答えられず、恥をかかせてしまうと恨まれてしまいます。自分もいきなり聞かれては困るから相手にもそうしない。これが日本語の暗黙のコミュニケーション・ルールだと思います。
でもグローバル・コミュニケーションは違います。そもそも聞く方も聞かれる方も即答なんて期待していない。「とりあえず何か一緒に考える土台となる考えを出してよ」程度の軽い感覚で聞いていることに気付きました。じゃないと怖くてdirect questionなど聞けるはずがない。
私の場合、何か聞かれた時は
“Ummm… I wonder why… Let met see…”
と間を置かずにすぐいうようにしています。そして聞かれたことの答えを100%返そうとせずに10%でも何か近いこと、思いついたことを言ってみる。例えば
“What do you think is the most beloved scent in the world?”
と聞かれたとします。「世界で一番愛されている匂い」なんていきなり聞かれても出てくるワケがない。
私だったら
“Ummm… I wonder what… Let me see…”
とちょっと話しながら考え、
“Well, it’s definitely something sweet rather than spicy…”
とかとにかくその場で思いついたことをいい、すぐに
“What do you think?”
と返す。すると相手も
“Yup, I totally agree. I like the smell of a freshly baked chocolate chip cookie. How about you?”
みたいな感じで会話がはじまるのであとは流れに任せて話していけばいい。
“Sweet”が思いつかなかったら
“Ummm… The favorite smell in the world, right?”
みたいな確認作業を取る。そこでも何も思いつかなかったら
“Ummm… Nothing comes to mind…”
とか
“Ummm… My brain is taking a holiday today…”
とか何でもいいんで、そう断った上で
“What do you have in mind?”
と返して相手に始めてもらう。相手が何か答えたらそれに対する自分の感想をいって一緒になって考えていけばいい。100%の答えなんて必要ありません。
一番いけないのが沈黙です。”ウー”とか”アー”とかも良くない。沈黙してしまうと自分の思考プロセスが相手に伝わらないので相手が不安になります。だったら「思いつかない」といいながら一緒に考えるモードに入れてしまった方がいい。
だから私は何か聞かれた時、「別に答えられなくてもいいや」というスタンスで、とにかく間を置かずに
“Ummm… I wonder why… Let me see…”
と自分にとってcomfortableな台詞を予め決めておき、そこから入る。そして例え何も思いつかなくてもうまく相手に返す繫ぎ方を用意しておく。こうしておけば、自分も安心ですし、相手も安心します。
もちろん普段から考えていることだったら即答しますが、それでも日本語のように100%一気に説明しない。同じように10%くらい話し、”Do you agree with me?”、”What do you think?”とか言って相手を抱き込むようにいつも心がけています。とにかく相手を抱き込まないと会話がはじまらない。
「即答など出来なくても良い」
そう考えると何だかちょっと気が楽になりませんか。

Posted by Masafumi Otsuka

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