何故日本の金融機関は外国人をうまく活用できないのか
11/4(月)付日経新聞に「銀行・保険、外国人幹部の育成急ぐ 海外展開に対応」という記事を読み、ちょっとした違和感を感じました。同記事によると:
3メガバンクや保険会社が外国人幹部の育成に注力している。(中略)将来の本社役員への登用も視野に入れ、国籍に関係なく昇進できる仕組みを整え、優秀な現地人材の確保につなげる。
三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は今年から欧米の有力ビジネススクールと提携し、幹部行員の育成プログラムを始めた。三菱東京UFJは8人、三井住友は9人の外国人行員が短期の集中講義を受け、新規の事業計画などを策定して経営陣に提案する。
と。私が違和感の感じた箇所は以下の2点。
- そもそも外国人を本社役員として迎え入れる準備が出来ているのか
まずは「将来の本社役員への登用も視野」の部分。【登用】よりも【受け入れる準備】が出来ているのか疑問を感じます。そもそも3大メガバンクの中で外国人役員が現在いるか調べた所、一人もいませんでした。重要なことは全て日本本社で日本人同士、日本語で決められている。例え「将来本社役員への登用」する日が来たとしても「おかしい!」と思ったことを遠慮なくズバズバいう優秀な外国人を、日本企業の中でも特に保守色の強いメガバンクが受け入られるのか。結局役員会を荒らされるのを嫌がり、活躍の場を作るどころか、居づらい状況に追い込んでしまい辞めていかれる姿が容易に想像出来ます。
「海外拠点のトップを担える人材(の育成)」=「日本本社で決まったことを文句言わずに実践してくれる外国人トップ」なのではと疑ってしまいます。そんな会社に優秀な外国人は集まるわけありません。
昨年ビジネススクールの卒業10周年の同窓会に出席しましたが、正直、金融に関しては日本企業は「活躍する場、成長する場が与えられない企業」という不名誉なレッテルが貼られているように感じました。
- 新規事業を提案させる!?
二つ目は「外国人行員が(有力ビジネススクールで)短期の集中講義を受け、新規の事業計画などを策定して経営陣に提案する」の部分。ビジネススクールに行かせて新規提案を、日本人しかいない役員陣にプレゼンさせるというのは、完全に日本人を上に置き、上奏方式で意思決定をする方法。クローズドな日本本社で日本人同士が日本語で決める。これはオープンな意思決定プロセスを好む優秀な外国人嫌うやり方です。結局、短期の集中講義を出た外国人は履歴書にハーバードという箔のつく学歴をありがたく頂戴し、より自分が活躍出来る場を提供してくれる企業に去っていく。そして、辞められたメガバンクの役員会で「あいつ裏切りやがって!だから外国人は信用ならん!」と怒っている姿が容易に想像出来ます。
これではあまりにも悲しい。。。そうならない為にも、すぐにでも外国人役員を入れてみる。通訳を入れてでも、優秀な外国人に重要な意思決定に関わってもらう。するとオープンな場で物事を決めていくやり方に対応せざるを得ず、「受け入れる側」の意識も変わってくると思います。
いま、メガバンクは海外赴任経験がないと出世できないと聞きます。ただ、その大部分は形だけ現地のトップのポストに就いて、2−3年本社に足を向けながら駐在する。現地幹部、職員と交わらない人が多いと聞きます。
有力ビジネススクールへの短期留学は外国人行員ではなく、本社役員にいってもらい、外国人役員を迎え入れる為の集中講義を受けた方が、本気で「国籍に関係なく昇進できる仕組みを整え、優秀な現地人材の確保につなげる」ことを考えているのなら効果的であると思えるのは私だけでしょうか。
Google+
2
2
comments