高性能センサーが可能にする新しい世界
「フラット化する世界」という本が2005年に出た時、会計業務、コールセンター等のバックエンドのサービスがどんどんインド、フィリピンなど新興国にアウトソースされていっていると読み、「これは偉いこっちゃ!」と一種恐怖心覚えましたが、その後グローバル・クラウドソーシングサイトのoDeskを使い始め、今では5カ国に、10名のチームを率いるようになり、毎日のように仕事を発注。この人達がいないともう仕事がまわせなくなる位、「フラット化する世界」が日常生活の一部になりました。
ちょうど年末に友人に勧められた“Age of Context”という本を読み、「フラット化する世界」を読んだときと同じ位、衝撃を受けました。「いまセンサーの技術が飛躍的に向上し、これがスマートフォン、ビックデータの解析と繋がり出し、すごいことが起きている、起きようとている」と。
何が起きているのか。特に印象に残っていた話を書き出すと、
Asthmapolisという米ベンチャー企業。救急患者の25%が喘息患者という米国で、吸引用装置のキャップにつけるGPSと直結するセンサーを開発。喘息患者がどこで吸引スプレーを使ったかのデータを集めることによって、喘息患者が立ち入り禁止地域(空気の悪い場所)をスマホアプリと連動させ、リアルタイム情報を提供。スマホさえ持っていれば歩いていて危ない地域に近づいたときは警告が出るようなシステムを作ったとのこと。
Proteus Digital Health社が開発した処方された薬を飲み忘れを防止するためのセンサー。この仕組みが面白い。胃酸に反応する砂1粒という超小型センサーを開発。これを薬に埋め込めば、スマホアプリと連動させることによって、きちんと処方された薬を飲んでいるのか、本人のみならず、家族や担当医にもそのデータがいくシステムを作ったとのこと。
昨年4月にプラシーボ(偽薬)試験に入る為のFDA認定がおりたとのこと(順調に行けば2015年頃認可が降りるらしい)。米国では処方された薬の飲み忘れ、飲まないが為に年間約26兆円($258 Billion)のムダな医療負担がかかっているというデータがあり、国の財政支出減の効果も期待出来る。このセンサー、今では結核、精神病、心臓病、糖尿病など早期発見が出来るように開発しているとのこと。
電動歯ブラシを作るフィリップスは、センサーを搭載した歯ブラシを開発。磨き残しや、虫歯の早期発見を、自分で確認、かかりつけに歯医者に自動で送ってくれるスマホアプリを開発中。完成間近とのこと。これ子供、超欲しかった(笑)。。。
IBM社が開発し、メンフェス州で実験している犯罪予知システム。センサーや蓄積したデータを解析し、最も犯罪が起きそうな場所を事前に予知。このシステムを使い、実際にパトカー等しソースを再配置することによって犯罪率を3割減らしたとのこと。
Shopperceptionというシリコンバレーにあるベンチャー企業がマイクロソフト社がゲーム用に開発したKinectというセンサー技術を応用し、開発したシステムが面白い。スーパーの天井にセンサーを埋め込み、人がモノ(例えばコーンフレーク)を買う際、何に反応して立ち止まるのか、棚のどの位置に立つか、はじめに触った商品を買うかどうか等のデータを蓄積出来るとのこと。これが分かると商品の陳列方法を変えてみたり、商品を触った瞬間にディスプレイに割引券を表示したりして、より顧客のショッピング体験あげることが出るようになるという。
既にWal-martの一部店舗で実験されているとのこと。昨年のコンシューマ・エレクトロニクス分の見本市(CES)でこのShopperception社がブースで実演したビデオを見つけましたので興味のある方は詳しくはこちらを御覧下さい。
IMRSV社が開発したKaraというセンサー。店舗の入口に設置しておくと、来店者の性別、年齢、感情等を90%前後の確度でデータとして蓄積出来るとのこと。既に月30ドルでスーパー等小売店に貸し出している。これが、Shopperceptionのセンサーと組み合わさったら何が可能になるか、考えただけでもワクワクしてきます。
今年か来年出るであろうと言われている、個人の趣味嗜好を完全に把握。今後の生き方自体を変える可能性を秘めているGoogle社が開発中の眼鏡、Google Glassもそうですが、ガラスメーカーの大手、Corning社が2012年に制作した “A day made of glass”という近未来の一日を描いたビデオ。このセンサーの技術の進化のスピード、個々で開発されたテクノロジーが繋がり出していることを考えると、意外と早く来るかもしれません。
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