TOEIC 900点組がかかってしまう呪い

TOEIC 900点組がかかってしまう呪い


TOEIC Curse「外国人と1対1であれば普通に意見を出せるし、対等に議論が出来る。だが、グループで意見をぶつけ合って、その場で物事を決めていく、問題解決をしていくミーティングに出ると、全く参加出来ない。何が話されているのかは、ほぼ理解出来ているが、意見は出せない。どうしたら良いのか」

最近こういった相談が特に多い。先日もニューヨーク在住で外資系金融機関に現地採用されている日本人の方が弊社のレベルチェックテストを受けまして、後日その音声ファイルを聞いていたら、発音を含めてほぼ完璧な英語を話している。何が問題になっているのかとカウンセリングで聞いた所、全く同じことを仰っていました。「1対1は何とかなる。ただグループミーティングになると発言出来ない」と。

何故1対1で出来ることがグループになると出来なくなるのか。もちろん人が増えると人前で話すのに緊張するというのはありますが、1対1だと頼る人が誰もいないので、ミスコミュニケーションが起きないよう、相手の言っていることを100%、正確に理解するよう、絶えず確認します。

しかし、グループになると他の人もいる分「自分だけが理解出来ていないのではないか」という心理が働いてしまう上に、「私が理解出来ていないが為に大事な会議の流れを止めてしまうのは失礼」という日本人的な気配りが働いてしまう。1対1で行っているような確認作業が出来ないので、『100%理解』が『ほぼ理解』に変わってしまう。

100%理解していなければ絶対に意見は出せません。

例え90%理解している中で、何かアイディアが出て来たとしても、10%理解出来ていないと

  • 「すでに同じようなアイディアが出て来たのではないか」
  • 「若干視点がずれているのではないか」

と疑念が生じてくる。そう考えている間に話が進んでいってしまい、結局言うチャンスを失ってしまう。これが99%だとしても同じです。100%理解していないと意見は出せないのです。

100%理解する為には、例えグループの中であっても、1対1で話している時と同じように、自分が正確に理解出来ているか場面場面できちんと確認しなければいけません。ネイティブ同士でも、ミーティング中に確認作業を頻繁に行っています。以前、信じてもらえなかったので「では実際のミーティングをこっそり録音して送ってください」とお願いし、その音声を全て文字起こしし、書面にして確認作業をしている箇所を全て囲って見せたら、あまりの多さに驚いていました。

ノンネイティブも含めたグローバル・ミーティングであれば、国によって同じ単語を使っても違った意味で使ったり、発音も全く違ったりするので、あまりの確認作業の多さに、どの部分が確認作業でどの部分が意見なのか分からないまま、ミーティングが進んでいきます。そんな中で自分は全く確認をせず、話されている内容を100%、正確に理解しようとするのは不可能です。確認作業を行うことも「意見」の一部だと考えて間違いない。

TOEIC高得点者の多くがこの罠にハマっているように思います。特に900点以上持っている層。そもそも900点以上出ている人の大部分は試験を受ける前に既に700点後半は持っている。780点から930点にあげるには、一発で聞き取る力を大きく磨かないといけない。

本来700点以上あれば、次のステップとして、置いていかれそうになった時に自然と確認するスキルを磨かないといけないのに、知らない間にそれとは正反対なスキルを磨いてしまっている。私はこれを「TOEIC 900点組がかかってしまう呪い」と呼んでいます。

100%理解出来ていないと意見は出せません。100%理解する為には自然と確認作業をしなければいけない。確認作業をする為にはある一定の英語力(TOEICであれば700点以上)を身につけたら、一発で聞き取ろうとしない。TOEIC高得点組の呪いにかかる前の方は、「何度でも確認作業しても良いパスポートを手に入れた」という強い意識を持ち、こちらのスキルを磨いて欲しい。一度この呪縛にかかってしまうと、それを解くのが本当に大変です。

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Posted by Masafumi Otsuka

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