聴くかは聴かないかは第一声で決まる

聴くかは聴かないかは第一声で決まる


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TEDでinspiringなプレゼンを見ていると、ある共通したことに気づきます。それは冒頭の30秒で知らずと引き込まれている。こうした人々は開口一番何をいっているのか。注目すると面白いことに気づきます。
例えばBenjamin Zander(世界的に有名な指揮者)が行った「クラシック音楽の聞き方、その素晴らしさを伝える」プレゼン(最後に埋め込みます)。その第一声は歩きながら:
「聞いたことのある話かもしれませんが、昔2人のイギリス人冒険家が船でアフリカ大陸に靴が売れるかどうかを調査しにいき、それぞれが本国に電報を打ちました。1人目は『アフリカはダメだ。誰も靴を履いていない。』と嘆き、2人目は『超チャンス!誰も靴というものを知らない』といったといいます。いまちょうどクラシック音楽業界で同じことが起きています。『クラシックはもうダメだ。死にかけている』と思っている人と私みたいに『まだまだだ!クラシックの素晴らしさに気付いていない人が多いだけだ』と思っている人。今日はこれを伝える為に来ました。」

みたいな感じで入っています。世間一般的な「今日は来ていただき、ありがとうございます」とか「ただいま紹介に預かりました**です。今日はどうぞよろしくお願いします」みたいな入り方はしない。
ある有名なプレゼンテーションのコーチ曰く「こんばんは。**と申します。今日はお忙しい中、来ていただきありがとうございます」ほど勿体ない入り方はないと。そしてその理由についていこう解説します。
  1. まずみんな「今日」であることは分かっている
  2. 話しているのが誰かも見れば分かる。
  3. 自分が来ているのも当然分かっている。
発表者の第一声だけは全員集中して聞いている。聴衆は、はじめの数十秒で「この人の話を聞くに値するかどうか」を決めると言われています。ここでありきたりのことをいってtune outさせるほど勿体ないことはない。
私もはじめこれを読んだ時、「これはアメリカの話。日本は礼儀が大切なので必ず名を名乗り、『今日は来ていただき、あいがとうございました』で入らないと失礼」と思っていました。でもそうは言ってもちょっとした好奇心で試してみたい(笑)。2年くらい前に「グローバル人材に求められるコミュニケーション力」という講演をさせていただいた時に、ちょっとビビりながらも、第一声で自分の名前も来ていただいたお礼もせず、いきなり
「私はこの業界に7年くらいいますが、去年の春頃から『大塚さん、最近外国人とのミーティングに出る機会が増えて来てね、5分か10分で置いていかれてしまい、苦痛で苦痛でたまらない。』そして『何で自分の英語力がないんだ。と嘆き一生懸命英語を勉強し、再度ミーティングに臨むも同じように5分か10分で置いていかれてしまう。そしてまた自分の英語力のなさを嘆き一生懸命勉強する』という負のスパイラルに入ってしまい困っているという相談がすごく増えて来ています。何故そういうことが起っているのか。」
みたいな感じで入ってみました。その時はかなり違和感を感じましたが、それをビデオで後で見直した所、全然不自然ではない。不自然どころか非常にナチュラルに見える。「これだ!」と思い、以降はありきたりの挨拶で入るのをやめてしまいました。
別に面白いことを言おうとか狙ってやろうと思っている訳ではなく、余計なことをいわず、スッとシンプルに本題に直結するような話から入る。ポイントはちゃんと聴衆が感情移入できる話をすること。とにかくtune outだけはして欲しくない。私の場合、全体のリハーサルは一回だけ通してやり(ここでちゃんとストーリーが流れているかどうか確認します)、最後まで冒頭の一言で何を言うかを悩み、プレゼン直前に絶対に噛まないように何十回も繰り返し声に出して練習します。
例えば今月ある外資系企業の内定者研修で「英語によるDiscussionを体験するワークショップ」をやった時の冒頭の入り方。先方に簡単に講師紹介をしていただいた後、
「しかしいきなり内定証をもらった直後にDiscussionをやらせる**という会社は凄いと思いますが、いまグローバル化、グローバル化といわれているじゃないですか。で、日本が今後益々世界の一員とし組み込まれていくということは新聞とか雑誌とか読んでいれば肌感覚としてあると思うんですが、その過程でうまく外国人とうまくコミュニケーションが取れなくて困っている人が雪だるま式に増えていっているんですね。。。」
という入り方をしました。別に何も狙っているわけではなく、気付いたら始まっていたという感じのことを冒頭でいうようにしています。
不思議ともう2年くらいこういう入り方をしていますが、後で主催者側から「何であいつ挨拶から入らないんだ。失礼なやつだ」といわれたことはありません(陰で言われているかもしれませんが・笑)。聴衆にも「あっ、この人挨拶を忘れている。」と思われているようにビデオを見返しても感じません。
2年も続けていると逆に人のプレゼンを聞いていて、「今日はいらしていただき、ありがとうございました」とか「今日は**について話したいと思います」見たいな入り方をされているのを聞くと非常に勿体なく感じてしまいます。
以前「何故大部分のプレゼンはつまらないのか」という記事で書きましたが、最近は脳の研究が進み、それがプレゼンにも応用され出し、いままで当然と思われて来た手法が実は効果がないことが分かってきました。この入り方も同じです。でも日本(だけではないですが)では「冒頭に来ていただいたお礼をいうのは礼儀として当然」がまだまだ圧倒的主流です。やはり日本はプレゼンで礼儀を優先すべきか。私には判断出来ません。そのうち私は大火傷するかもしれません(笑)。


Posted by Masafumi Otsuka

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comments

    Dec 16
    2011

    Anonymous

    日本には日本のやり方がある。
    グローバルも大事だが、日本のやり方も大事。
    グローバルかぶれをするな。
    俺は大やけどをした。
    実際に文句も言われたよ。お前みたいな米国型スピーチをしたらね。

    Reply
    Dec 16
    2011

    Masafumi Otsuka

    あらら。それは大変失礼いたしました。でも挑戦したんですね!このやり方は「米国型」ではなく脳の研究から応用された新しい進化だと思います。でも礼儀を重んじる場所、特に日本の保守本流層が聴衆の場合嫌われるかもしれませんね。でもあえてやってみたい気が。。。貴重な体験談ありがとうございました!

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