良い仕事を行う為に、必要なリソース(人・モノ・金)を与えていますか?

良い仕事を行う為に、必要なリソース(人・モノ・金)を与えていますか?


performance tools現地の優秀なタレントをうまく活用出来ず、辞められてしまい、困っている多くの日本企業向けに、外国人社員の離職率を下げる何かヒントになればと思い、はじめたこの連載。

第1回目は「仕事で何を求めているか明確に説明する大切さ」について書きましたが、第2回目は「良い仕事を行う為に、必要なリソース(人・モノ・金)を与える大切さ」について書きます。この発想を持っている日本人マネージャーは非常に少ないように思えます。

以前、ある新興国でトップの大学を出て新卒で日本企業の本社採用された外国人と話す機会がありました。その方は数年で会社を辞めてしまいましたが、その理由を聞いた所、

入社1年後に社内で誰もやり方の知らないチャレンジングな仕事を任され、ワクワクしていた。しかし、仕事内容を相談できる相手がいない。上司にSOSを出しても、「任せたんだから、自分で考えてやりなさい」の一点張り。毎日夜遅くまで働くも、結局うまくいかず、「何で出来ないのか」と叱られる。すっかり自信を失い、このまま残ったら本当にダメ人間になりそうだったで、Move onすることにした。

と。これを「この人は優秀ではない」とか「忍耐や根性が足りないから逆に辞められて良いのでは」と考える方も少なくないと思いますが、私は全くそうは思いません。良い仕事をする為のツールを与えないで、「パフォーマンスをあげろ」とプレッシャーをかけるのは、両手両足を縛った状態で荒海に投げ込んでるようなものです。高くperformするツールを与えないでパフォーマンスを求めるのは無理があります。

日本人だったら自分の能力不足を責める人が多いかもしれませんが、優秀な外国人タレントから見ると、そのマネージャーが逃げているように見えます。そんな人の下で働いていても高いパフォーマンスは出せるわけがない。新しいことも学べない。だからもっと高い学びの機会を提供してくれるところに移った方が良いに決まっている。

第1回目の「仕事で何を求めているか明確に説明する大切さ」以上にこの

良い仕事を行う為に、必要なリソース(人・モノ・金)を与えているか

は大切に感じます。社内で誰もやったことのないチャレンジングな仕事をやらせるのなら、それを達成するために、その社員がどんなツールが必要なのかを徹底的に話し合う必要があります。

  • 社外の専門家(弁護士、税理士、各種コンサルタント)の助けが必要なのか。その場合、そういった方々にアクセス出来る人脈をその社員は持っているのか。
  • 何かやり方を思いついたらそれを試して見る自由となる予算を持たせているか。なければつけてあげる。

ただ「やれ」というのは単にる「丸投げ」です。「丸投げ」ときちんとリソースを与えて出来そうなイメージを与えてから「任せる」とでは雲泥の差があります。

昨年ある会社が新興国で新規事業を立ち上げたいので手伝って欲しいと言われ、早速カントリーマネージャーを雇うところからはじめ、運良く優秀な人が雇えたので、その後ほぼ毎日ビデオSkypeで今後のプランについて話し合いました。とにかくこの国のネット環境が悪く、映像が荒い上に、よくプチっと回線が切れる。

はじめはネットカフェを色々とハシゴしてもらい騙し騙しやっていたのですが、一向に安定しない。自宅まで高速ネット回線は通っていない。これでは仕事にならないと思い、お金をかかっても良いからネット環境が安定しているシェアできるオフィスを探し、そこの回線を試したところ、びっくりくらい完璧。本人曰く、ここだったら場所も安全だし、安心してMacを使って(ネットカフェだと危なくて出せないとのこと)仕事が出来るという。賃料は本人に一ヶ月渡している給与とほぼ変わりませんでしたが、即決で借りました。

そして、単純作業は私の秘書をつけてあげたり、調査費用として自由に使える予算(←許可制ではなくこの『自由』が大事)を渡し、彼女の人脈で解決できるものは利用してもらい、出来ないものは一緒になって解決案を考えてあげる。

この国(といってもほとんどの新興国はそうですが)、交通インフラがひどく、金曜日になるとタクシーを捕まえるのに2−3時間待ちになってしまうらしい。ある金曜日夕方に、ふとその話になって、普段20-30分で着く家が、これから待ち、渋滞を考えると4−5時間かかるという。

私からみるとこの全く生産性のない4−5時間ほど勿体ないものはない。この国のハイヤー車は1日5,000円くらい出せば借りれると聞いていたので、金曜日はハイヤーを出す代わりにもう2-3時間働いてくれないかと提案したら、大喜びして、さらに大きくperformしてくれました。

優れた外国人社員が最大のパフォーマンスを出す為に自分は一体、何が出来るのか。良い仕事を行うために必要なリソース(人・モノ・金)を与えているか。

これを深いレベルまでcareしてあげる。「苦労して全部自分で調べてまずはやってみなさい。私もそうしたんだから…」というスタイルでマネージされていると優秀な現地社員はあっという間にいなくなってしまいます。

冒頭の紹介した現地のトップ校を卒業した外国人社員。入社当初全く日本語が話せなかったが、最後は読み書きもほぼ問題なくできるほどレベルアップしていました。しかし、これから日本を去り、もう日本企業では働かないという。彼女の周りにも同じことをいって辞めることを考えている外国人が多いとのこと。こうした話を聞くと寂しく感じます…

参考記事
第1回目: 仕事で何を求めているか明確に説明していますか?
優れた従業員は会社を去るのではなく直属の上司を去っていく
超優秀なプレイヤーは出世させてはいけない


Posted by Masafumi Otsuka

Leave a Reply