深い学びはゆったりとした学習環境の中で生まれる

深い学びはゆったりとした学習環境の中で生まれる


slow down現在日本企業の幹部向けに行っているGlobal Discussionという研修。日本の会議と違い、オープンにその場で参加者で議論をしてDecision Makingが行なっていく英語によるミーティングで、置いていかれず、積極的に参加・貢献していくスキルをつける8週間(週1回、各回2時間)のコース。

いままで、リアルのグローバルミーティングと変わらないスピードで行い、ワザと置いて行かれる環境を作り、後日、録音されたビデオを私のコメントが入ったスクリプトと同時に見ていただき、復習していただき、次に活かしてもらう形式で研修を行っていました。

しかし昨年夏、即興劇(Theater Sports)の神様と呼ばれるKeith Johnston氏が毎年夏にカナダ行っている即興劇の10日間合宿に参加。このやり方が間違えているのではないかと思わさせる大きな気づき(A-ha moment)がありました。

10 days with Keithこの合宿の内容は「Happyに失敗できる学習環境を作る」という別記事に譲るとして、Johnston氏は世間一般的な授業:

まずは壇上に何人かをあげて、一つのシーンをやらせ(講義)、終わった後にどこが良く、良くなかったかを解説(講義内容の確認・復習)、次のシーンで新しいことを教える(次の講義)

を行いません。一つのシーンを何度も何度も止める。うまくいっていない時だけ止めて、解説していると思いきや、うまくいっている時も止め、何故それが良かったかを解説していく。だから数分で終わるはずのシーンが終わるのに30分以上かかったりする。

すると細かく学びのポイントがその場でわかるし、反復練習ができるのでいつの間にかスキルが体に身につく。「何て斬新な学習方法なのか!」と大きくinspireされ、何とかGlobal Discussion研修に取り入れられないか、帰国後ずっと考えていました。

ちょうど昨年12月から新しいセッションがはじまったので、プログラム設計を大きく変え、早速Johnston氏の手法を取り入れてみることにしました。今までは実際のミーティングと同じくらいのスピードで授業を行い、1セッションでDiscussion Topicは必ず完結させる(解決案まで必ず持っていく)というスタンスで授業を進めていましたが、今回は例えDiscussionが途中で終わっても構わないというスタンスで、途中理解できていない人がいれば止めて日本語で何故その瞬間に止めないといけないのかを解説。また、議論を前進させる発言や質問が出たら、すぐに止めて、それがどのように貢献しているか、「これでもか!」というくらい止め、解説するスタイルに変えてみました。

今まで時速100キロで行っていた授業を時速30キロくらいにスローダウンしているので、当初やろうとしていたことの3割程度で終わってしまう。はじめはこのスピードと解決案まで辿り着かず途中で終えてしまう気持ち悪さを感じましたが、ちょうど今週第5週目が終わり、その効果を大きく実感しています。

過去に比較して、受講生のパフォーマンスレベルが明らかに高い。また日本語で解説している時に出てくる質問が「えっ、そこで躓くんだ!?」と過去誰にも聞かれなかったことを聞かれ、「やばい、だったらこうしたトレーニングを入れなければ…」と逆にこちらが勉強になっています。

このコース、5年前に開発し、毎回色々と実験しながら改善していたつもりが「今まで一体何をやっていたんだ?」と大きく反省する位、目からウロコ体験をしています。

以前読んだ本(←タイトルを忘れてしまった)で

深い学びはゆっくりと、その場で間違いを発見、修正、反復練習しながら少しずつ学習していき、知らないうちに身についてしまっているという環境の中で生まれる

ようなこと(あまりうまく説明できていない・悲)が書いてありましたが、「なるほど!そういことだったんだ!」と実感、ワクワクしてきました。来週は何をやろうか。まだまだ改良の余地、ありそうです!

関連記事
即興芝居(インプロ)を通じて学ぶ大切なスキル
「Happyに失敗できる学習環境を作る」


Posted by Masafumi Otsuka

Leave a Reply