オリジナリティを発揮する人とそうでない人のちょっとした違い
オリジナリティの高い仕事をするにはどうしたら良いか。最近読んだ”Originals: How Non-Conformists Move the World (Adam Grant著)”というオリジナリティについて研究した本が面白い。
オリジナリティを発揮する人たちは、その同僚に比べ、特別に才能が優れているわけではない
と著者のGrant氏はいいます。その決定的な違いは何か。以下、大塚のスーパー意訳です(笑)。
普通の人は少ないアイディアしか出さず、それに惚れ込み、磨きに磨いてから「どうだ!」と勝負するのに対し、オリジナリティを発揮する人はアイディア、作品を沢山出し、その良し悪しは自ら判断せず、世に判断してもらう手法を取る
アイディアを出す人は、自分の出したアイディア・作品に対して、惚れ込んでしまい、客観的に見れなくなってしまう。「アイディアを出す人」は「その出したアイディアを評価する人」として最も不適格である
と。そもそも自分のアイディアに惚れ込まなければ、それを追求するモチベーションが湧かないので当然といえば当然か。
ここでいくつか面白い事例を出てました。例えば作曲家のベートーベン。650もの作品を生涯で制作しましたが、彼が最も愛した自分の作品と世間で愛されている作品はまるで違うという。
先日、映画監督のWoody Allenのドキュメンタリーを見ましたが、Allen氏は全く同じようなことをいっていました。彼が1976年に制作したAnnie Hallという映画を制作した時の話。Allen氏曰く
編集作業を終えた段階でこの作品が全く気に入らなかった。人生(映画監督として)のこの段階でこの程度のものしか作れないのだったら、お金をもらって映画を作る資格がない。
と。そして、映画配給会社に
上映を取りやめてほしい。その代わりに新しい作品をタダ(制作資金は全て自腹)で作る。
と懇願したと言います。結局Annie Hallは上映され、アカデミー賞4部門受賞することになり、彼が制作した50本以上の映画の中でも最高作品として語り継がれる。
Allen氏にとって、過去制作した映画の中での一番の自信作はこのAnnie Hallの直後に出した、Stardust Memoriesという作品だったらしい。この作品、過去のAllen映画の中でも興行的にワーストに入る作品だというから面白い。
Allen氏は1960年代から今日でも毎年一本映画を出し続けています。出した映画作品は50本以上、80歳になったいまでも出し続けている。
「一つのアイディアに惚れ込まない。完璧を求めず、ある程度の水準に達したら、次のアイディアに移る。”perfect”ではなく”good enough”のアイディアを出し続けるくらいがちょうど良い」
いま新商品・サービスの開発など、Creativityが求められる”business challenge”を社内外関係者を一同に集め、1日か2日かけて、具体的なアイディアに導いていくIdeation Workshopをやっていますが、何か大きなヒントをもらった気がします。
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