最も大切な英語フレーズ

最も大切な英語フレーズ


slow_down日本人と日本語でコミュニケーションをとっている時、「ちょっと待ってください。もう少しゆっくりと話していただけませんか。」なんてまず言わない。そんなこと言ったら頭の悪い人だと思われてしまう。これはアメリカ人同士、英語でコミュニケーションをとっている時も同じ。自国の人と母国語で話す際、「もう少しゆっくりと話していただけませんか。」とお願いすることはあまりないように感じます。

私はミーティング中、ネイティブが、抑揚のない、流れるような英語で話し出すと、すぐに”Wait ,”と遮って、”… can you speak more slowly?”とお願いします。すると、大抵のネイティブ(特に外国人慣れしていないネイティブ)は、そう言われ慣れていないからか、”Oh, I’m sorry…”と戸惑います。ただ、ゆっくりと話すことで、より自分が伝えたいことが伝わっていることを実感すると、ミーティング終了後、”Thank you for telling me to slow down…I didn’t realize that I was speaking too fast…”とわざわざ言いに来てくれるケースが多い。

“Wait! Can you speak more slowly?”

最近、グローバル・コミュニケーションにおいて、これが一番大切なフレーズではないかと思うようになりました。ただ、日本人に限らず、グローバル・ビジネスの現場でこれを使っている人はあまり見かけません。

日本人に関していえば、TOEIC(R)リスニングのトレーニング。何が何でも一発で聞き取るスキルが無意識に磨いてしまっているせいか、ネイティブが自分が内容を吸収できるスピード以上で話している場面に遭遇すると、まず自分の英語力のなさを責めます。そしてさらに早いスピードで聞き取れる練習をする。これは終わりなきスキルの追求。

相手のスピードに合わせるのではなく、自分にとってcomfortableなスピードに相手をslow downさせる。グローバル・コミュニケーションの一丁目一番地はこのマインドをまず持つことではないか。最近、講演や研修の場で必ずこの話をするようにしています。すると、

  • 気持ちよく話している人を (1) 遮って、(2) ゆっくり話させるのは相手に対して失礼ではないか。
  • 今の私の英語力で相手にゆっくりと話させるのは申し訳なく感じてしまう。どれくらいの英語力があれば”Can you speak more slowly?”とお願いする資格があるか。
  • 一対一なら出来る。ただ3人以上いると、自分の英語力不足のせいで、他の人にも迷惑をかけるのは失礼ではないか。

と必ずと言っていいほど聞かれる。

相手が気持ちよく話しているのに、それを遮って、「もう少しゆっくり話して」とは失礼かどうか。日本語で行なっているミーティングに参加されている外国人に、「スミマセン。もう少しゆっくり話していただけませんか。」とお願いされ、気を悪くする日本人はほとんどいないと思います。感覚は全く同じです。

逆に「私はあなたの話に興味があるから正確に理解したい。だからゆっくりと話して欲しい」という”I care”の気持ちが伝わるので、失礼どころか相手は嬉しくなるはず。

英語力についても、そもそもミーティングに呼ばれているということは、何かしらの貢献を求められているわけで、出席している段階でその資格は持っていると考えなければいけない。「TOEIC(R)でいうとどれくらいの点数が必要?」と良く聞かれますので、リスニングパートでで300点以上出ていればslow downさせる資格を持っていると考えてくださいと言うようにしています(あくまでも私の感覚です・笑)。

大切なのはここから先は英語力というハードなスキルのみ鍛えていくというよりも、slow downさせるというソフトなスキル(コミュニケーション力)も合わせてつけていかないと、どんなに多くの単語・フレーズを知っていても、実際のミーティングで入っていくのは難しい。

「私だけのために全体のスピードが遅くなってしまうのは他の出席者に対して失礼」という考えも間違っています。特に日本のミーティングとは違い、グローバルで行うミーティングはその場で意思決定が行われるので、スピードが遅くなるとその分、(1) 参加者同士の理解力が上がる (2) より考える時間が生まれ、良いアイディアが出やすくなる。

またこういったミーティングは台本がない分、一度置いていかれたらその先何が話し合わせれているか理解できず、ただ座っているだけになってしまう。折角呼ばれたのに何も貢献できない。その方が余程失礼です。次は呼ばれなくなる可能性が高い。

特に最近、急速にグローバルでコラボする機会が増えたせいか、外国人慣れしていないネイティブがミーティングに参加するケースが増えてきたような気がします。こうした人達は英語(ハードスキル)は問題なくても、それを使ってコミュニケートする力(ソフトスキル)が備わっていない場合が多い。

”Can you speak more slowly?”と言ってあげることによって、相手をより良いcommunicatorにするお手伝いをしてあげているという位、強いマインドを持ってやって欲しいし、私は進んでやるように意識しています。

“Wait! Can you speak more slowly?”使う際のポイントは2つ。

一つ目は早いと思った瞬間にすぐに相手を遮ること。Waitが使いづらかったら、相手の名前を言っても、日本語で「ちょっと待って!」と言ってもなんでも構いません。間ができるまで待つのではなく、こじ開け、バシッと止める感覚が大事。間ができるのを待っているとタイミングを失ってしまいます。

二つ目は何度もいうこと。一度言っても、exciteするとすぐに元のスピードに戻ってしまいます。そこで、”Sorry… You’ve lost me again. Can you say that again?”とか”Can you speak a little louder?(大きな声で話させると自然とスピードは遅くなります)”みたいに言って、何度も何度もslow downさせる。

“Wait, can you speak more slowly.”

日本人に限らず、他のノンネイティブも無意識にスピードの速いネイティブに合わせなければとslow downさせてな中でこそ、自信持って使えれば、それだけで大きな貢献となり、やればやるほど、周りに重宝されると思います。試してみてくださいね。

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Posted by Masafumi Otsuka

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