危機意識、Creativity、チームビルディングを同時に開発するワークショップ

危機意識、Creativity、チームビルディングを同時に開発するワークショップ


Scenario Planningシナリオ・プランニングというワークショップはご存知でしょうか。

3年前に友人でスタイリッシュ・アイディアというコンサルティング会社を経営している新井宏征さんから教えていただいたもので、社内の人間を10〜30人集め、10年後に誰もが起こらないと思っているような突発的な出来事をみんなで出し合い、起こる確率は低いかもしれないが起こったら自社のビジネスに大きく影響する出来事を2つに絞るところから始めます。

例えば昨年外資系化学品会社のChange Management Training(会社が新しい目標・方向性を変え時に、個人・チームに対しその目標を理解させ、コミットメントを促すために行う研修)の一部でシナリオ・プランニングを行なった時、まず課題を「2027年の健康食品マーケットはどうなっているのか」と設定し、10年後に起こる出来事を

  1. どこでもドアが開発される
  2. 先進国の平均寿命が150歳になる

の2つに絞りました。次に以下の4つのシナリオを想定:

  1. どこでもドアだけが開発されるシナリオ
  2. 先進国の平均寿命が150歳になるシナリオ
  3. どこでもドアの開発と先進国の平均寿命が150歳が同時に起きるシナリオ
  4. 2つの事件どちらも起きないシナリオ

さらに4グループに別け、各グループに一つずつシナリオを与え、自分達のシナリオでは社会がどう変化しているか、可能な限り具体的にその世界観を議論し、作っていってもらいます。そしてグループ毎にプレゼンをしてもらう。

プレゼン方法はちょっと遊び心を持たせる意味を込めて

本日タイムマシーンが開発されたと仮定。あるニュース番組が番組中に速報で、そのタイムマシーンに番組記者を乗せ、10年後のあなたのいるシナリオを取材しにくると想定。番組記者が驚きのニュース、トップ3を実況中継します。これを全員参加し、スキット風に発表してください。

と私は指示しました。

例えばどこでもドア開発されるシナリオで出てきたニュース速報(ここは自社ビジネスを意識しないで世界観を考えます)は

  1. どこを見てもメタボだらけ(動く必要がなくなるので誰も運動しなくなる)
  2. 高糖質、脂質、高カロリー食品に対するニーズが激増(健康食品というカテゴリーが消える)
  3. 一番モテる体型はドラえもん型

というユニークなニュースが3つ出てきました。

4つのグループ全てプレゼンした後に、自分のグループ出した3つのニュースの中で、最も自社のビジネスに最も影響を与えるするものを一つ選び(これはシナリオ・プランニングの教科書には書いていませんが時間の関係で勝手に私がやってもらいました)、10年後にそれが起こると備えてどんな戦略が打てるかを考えてもらいます。

例えばこの会社は健康食品の原料も提供しているので、2番目のニュースの高カロリー食品に対するニーズの激増に備え

  • 高カロリーのための食材、原料を開発
  • 食べれば食べるほど食欲UPする製品を開発する
  • マクドナルドとジョイントベンチャーを作り、ジャンクフードの帝王のポジションをとる
  • メタボ促進のイメージ戦略として「ちょい悪メタボが格好いい」プロモーションをかける

など、面白いアイディアが沢山出てきました。

このシナリオ・プランニング。石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルが変化の激しい石油業界で、何か突発的な出来事が起こった時、どう対応するかを考えるための危機管理トレーニングの一環として1965年から始めたといいます。社内で考えるだけでなく、毎年社内で行なったシナリオ・プランニングの結果を外部に公開までしています(2017年度版はこちらでご覧いただけます)。本気度が伝わってきます。

こうした文化のお陰で、1970年代の2度の石油ショックや2008年6月に1バレル=141ドルから2016年1月に26ドル台まで転がり落ちた時、いち早く対策を打つことが出来、他の石油大手に比べダメージが少なかったと言われ、このシナリオ・プランニングという手法が一気に注目を集めるようになりました。

昨年こうしたワークショップを英語、日本語問わず15本はやったでしょうか。先の見えない変化の激しいVUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguityの頭文字を取ったもの)の環境で求めれるスキルの数々:

  • 世の中でいま何が起きているか高いアンテナを立てる大切さ
  • Creativity(柔軟な発想)とそれを周りに伝える力
  • 人のアイディアを聞き、質問をしたりそのアイディアを発展させたりする能力
  • グループで問題解決をする力
  • プレゼン力
  • 危機管理トレーニング
  • チームビルディング
  • Active listening力の向上(日本人、外国人を交え英語で行う場合)

などを一度に開発できるのとやる度に感じます。「VUCAの時代、どういうリーダーを育てるべきか」、その回答に多くのグローバル企業の人材開発責任者が参考にしているDeveloping Leaders in a VUCA Environment(ノースキャロライナ大学経営大学院著)というレポートによると

人材開発やタレントマネージメントの担当者はシナリオプランニングをリーダーシッププログラムに可能なかぎり入れるべきである。

シナリオプランニングをやることで将来のリーダー達は今後どんな知識やスキルをつけていかないければならないか、気づくができる。

リーダーの脳内筋肉(muscle memory)を鍛え、(実際に突発的な出来事が起きた時に)反射的に対応できる訓練の一環として、シナリオプランニングは頻繁に行うべきである。

シナリオプランニングと書いてありました。より詳しくシナリオ・プランニングについて知りたい方は本が出ていますので是非こちらよりご購入ください。ワークショップによる進め方もかなり詳しく書いてあります。

シナリオ・プランニングのみならず弊社では英語・日本語問わず様々なワークショップを行なっています。昨年特に増えてきたのが、グローバル・チームビルディングなどのワークショップです。

英語も大事ですが、英語以上にグローバルでコラボをする際、信頼関係を築く方が大事ではないか。最近特に感じます。

参考記事
チームビルディングは遊びではない
Creativeな発想を引き出す方法


Posted by Masafumi Otsuka

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