Creativeな発想を引き出す方法 #1: 常識を疑え!

Creativeな発想を引き出す方法 #1: 常識を疑え!


questioning the assumptions新しい発想をいかに出していくか。最近Ideation Workshopについての沢山書いていますが、その中で使われる代表的なフレームワークを今後紹介していきたいと思います。今回は「常識を疑う(Questioning the assumptions)」というもの。

仕組みは至って簡単。例えば「いいビジネスアイディアがなかなか出てこないなー…」と思っているとします。そこでその業界(ビジネス)における常識、誰もが当たり前として考えているビジネスの行われ方、仕組みを最低20個以上書き出してみる。そして、その一つ一つ疑っていく。この代表例として良くあげられるのがファッション家具で有名なIKEAです。

まずは従来の家具業界の常識を書き出してみる。

  • 家具は長期間使うもの
  • 選ぶのに時間がかかる
  • 来るまで実際に部屋に置いた時の感じが分からない
  • 決めるまで2−3回お店にいかなければならない
  • セールスの人がいる
  • 買ってから後日配送される
  • デザインに幅がない
  • 既製品なので自由度が少ない(色等)
  • 3年保証

等細かいことを挙げれば、いくらでも出てくると思います。こうしたことを一つ一つ疑ってかかってみる。IKEAは上記全て覆します。

「数年で買い替える(壊れる)ことを前提(保証は一切なし)としたスタイリッシュな家具」「買って、自分で運んだ上に組み立てなければいけない」「セールスの人が全くいないが、逆にいらないように順路を冒険風にアレンジ、周りながらその家具をどう使うか、発想がどんどん出てくる店舗に設計」

先日、1兆円を超えるエネルギー開発プロジェクトに関わっている友人と話していたら、まさしくこのフレームワークを使って大幅にコスト削減されたといっていました。最近のエネルギー価格の暴落に伴い、大幅なコストカットの必要が出て来る。そこで社内外の利害関係者を全て集め、2日間ワークショップ形式で開発プロセスや過去常識とされていたことこれ以上なく細かく書き出し、一つ一つチャレンジしたらターゲットの20%を凌ぐコストカットに成功したといっていました。数千億のコスト削減というのは凄まじい。

このフレームワークは何も仕事でしか使えないという訳ではありません。個人で、何か身近なことでアイディアに詰まった時にも当然使えます。ちょうど先日友人の結婚式の乾杯のスピーチを依頼され、「ありきたりの乾杯のスピーチはやりたくない」と考えていました(←こう考える時点で性格が相当捻くれている・笑)。でもアイディアがなかなか出てこない。そこで友人3名の力を借りて結婚式の乾杯のスピーチにおける常識を27個出して頂きました。一部を抜粋すると

  • 冒頭でおめでとうから入る
  • スピーチは立って行う
  • 新郎を褒める
  • 決められた位置から動かないで話す
  • 最後に乾杯する
  • 時間は5分以内、とにかく短く
  • 結婚のアドバイスを入れる(3つの袋、3つの坂)
  • 音楽や写真を使わない
  • 乾杯の仕方は右手でグラスを持ってあげる
  • 乾杯の際、決まり文句がある

等、「これってあえて出すこと?」と思うことをどんどん出していく。27個も出たのはすごい。ここで一つずつ見ていくのですが、今回一番はじめに目に止まったのが「新郎を褒める」ということ。ここで「新郎を褒めない」と考えても面白いのですが、あえて「何で褒めるんだろう?」と問いてみる。すると

  • 新婦の友人向けに「新郎はこういう人だよ」と伝え、安心してもらう為のスピーチなのではないか

という発想が出てくる。するとオーディエンスが固まります。そして、最終的に「新郎は一言でいえばこういう人」という強い印象を残してもらえるというコア・メッセージがセット出来れば、褒める内容もそこに向かうポイントのみ選べば良い。

オーディエンスとコア・メッセージが固まればプレゼンは構成しやすくなります。そこでまたリストに戻って、「このコア・メッセージがより響くに、これら常識は本当に必要か?」という発想で、どんどんチャレンジしていく。すると

  • 「おめでとうと冒頭であえて言う必要があるのか?」
  • 「動いてはダメなのか?」
  • 「ストーリーがちゃんと流れていれば5分を超えても良いのではない?」
  • 「だったら飲みながら聴いてもらっては?」
  • 「スライドを使ってよりメッセージを強める方法はないか?」

という発想が出てくる。はい。今回、上記5個の常識は破りました。冒頭から直で本題に入り、スライドを使ったのでまずはスクリーンに向かって歩き出し、飲みながら聴いてもらいました。ちょっとやり過ぎた感はありましたが、メッセージは伝わったと思います(笑)。

当たり前過ぎて誰も疑わないことを徹底的に書き出して、「何故みんなそうしているのか?」と問いてみて、「今までそうされていたから」としか答えられないものは好材料です。”このテクニックを使うと強制的にいつもとは違った視点で考えさせられるので、新しい発想が出きやすい。

ポイントはこの常識を徹底的に引き出すこと。10個くらいまでは普通に出てきます。ここからが勝負。例えばお客になったつもりで時系列そのプロセスを参考にする等、参加者を思いっきりプッシュして、あと20個以上出させる。大抵、最後に絞り出した5つの常識が、Breakthrough ideaに繋がる。

何かアイディアに詰まった時は是非この「常識を疑ってみる」フレームワーク試してください。きっと自分でもびっくりする発想が出てくると思いますよ。

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Posted by Masafumi Otsuka

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