Creativeな発想を引き出す方法 #3: 問題を再定義しろ!

Creativeな発想を引き出す方法 #3: 問題を再定義しろ!


problem redefinitionCreativeな発想を引き出す方法の第3弾として、「問題を再定義する(Problem Redefinition)」というフレームワークを紹介します。このテクニック。英語によるDiscussion Seminarの第1回目に(計8回)で良く使っています。まず冒頭で以下の実在する問題をプレゼンします。

1999年にアメリカで一年間に44,000人から98,000人が医療事故で死亡するという衝撃的なレポートが発表されました。数ある原因の中で一番が病院内での傷口感染という内容にも多くの人が驚きました。医者が治療終了後に手を洗うという消毒作業を怠る為に、前の患者の細菌が次の患者に感染し、死に至るという考えられない現象が起きているのです*。

そしてDiscussion Topicを以下に設定。
“How can we make doctors wash their hands?”

そのCreativeな解決案を皆で考えていく。まず冒頭で”Any ideas?”とまず聞いてみる。大抵は出てこない。何故か。「どうしたら医師に手を洗わすことが出来るか」という質問はあまりにも直接かつBig question過ぎて、発想が湧かない。どうすれば良いか。発想が出やすいように質問を再構築してみるというのがこの「問題を再定義する」というフレームワークです。仕組みは至ってシンプル。

今回のケース、「どうしたら【医師】に【手を洗わす】ことが出来るか」の中から【医師】と【手を洗わす】を取り出し、

  • 医師とはどういう人間か
  • 何故手を洗わないのか

参加者に質問。意見をどんどん出してもらう。 まずは「医師はどういう人間か」について

責任感が強い・忙しい・優しい・人の命を扱うのでプレッシャーが重い・プライドが高い・金持ち・モテる・ポルシェを乗っている・頭が良い・人のいうことを聞かない・純粋・先生と呼ばれている・全てを知っていなければ行けない・恥をかくのが嫌い

washing hands

等、良いも悪いも実際にやってみると沢山出てきます。

次に「何故手を洗わないのか」について

  • 忙し過ぎて忘れてしまう
  • 洗ったと勘違いしてしまっている
  • 毎回まともに手を洗ったら何十回も洗わないといけないので、手が荒れてしまう
  • 自分が手を洗わなかったのが原因で患者が亡くなったという自覚がない。
  • 見た目、手はきれいに見える

ここで問題を再定義する準備が整います。 「どうしたら【医師】に【手を洗わす】ことが出来るか」という当初の問題提起の「医師」と「手を洗わす」の所を出て来た意見を置き換えていって、問題を再定義してあげる。

例えば、
どうしたら【プライドが高く、恥をかくことが嫌いな人】に【見た目きれいに見える手を実はウィルスだらけということを知らす】ことが出来るか

と再定義してあげれば、その答えとして

  • 手術台にウィルスに紫色に反応する特殊照明を設置すれば、手術を始まる直前は看護師を含め医療スタッフ全員、医師の周りにいるので、医師は手がきれいでないと恥をかく仕組みとなるのではないか?
  • つけた瞬間ウィルスが残っていたら紫色に反応するゴム手袋を作ってみては?

というアイデイアが出てくる。【忙しい】と【洗ったと勘違いしてしまっている】を組み合わせれば

「一層のこと洗うこと自体を忘れても良い仕組みを病院内で作れないか?」 という発想が出て来て以下の動画のような解決案が出てくる。

どういう組み合わせにするかは特に問題ではなく、問題を分解して、再定義してあげることによって、従来とは全く違った視点で問題を考えられるようになり、新しい発想が出てきやすい環境を作っていく。

言葉を出し尽くした後に2−3名の小グループに分けて、無作為に言葉を選んでもらって、3つくらいMake senseする質問を作ってもらう。そして、解決案を考え、発表してもらう。ほとんどの発表直後に他のグループから「だったらこうしたら?」とさらに面白いアイディアが出てきます。

この「問題を再定義する」フレームワークは一番始めの問題設定、今回の場合は質問の設定の仕方と質問をどう分解するかの設計さえ、間違えなければうまくいきます。同じ問題でも問い方は色々なパターンがありますので、パターンに応じて何がうまくいきそうか、まず自ら試してみることをお勧めします。

ハマると驚くべきCreativeなアイディアが出てきますので是非試してみてくださいね!

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参考文献
*To Err Is Human (Building a Safer Health System), National Academy Press 1999


Posted by Masafumi Otsuka

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