「若い人から意見が出てこない」と思った時、自ら問うべき大切なこと
「若い人から意見が全然出てこない」
「質問をしても固まってしまう」
最近、若手や部下のコミュニケーション力を上げて欲しいと日本語・英語を問わずコーチングを依頼されるケースが増えてきています。しかし実際にその社員と話してみると、少なくても私の目から見て、その大部分はコミュニケーションに問題があるように思えない。逆に知識量、その見識の高さにびっくりするケースが少なくありません。「あれれ!?」と思い、何故そうなのか。本人や周りの方々に聞いてみたり、「その現場をみせてください」とミーティングに特別に参加させてもらったりすると、その社員の問題というよりもトップに問題があるのではないかと感じることの方が多い。
こうしたトップ層に共通する特徴として、相手を威圧するオーラを出している。
- 「で、何が言いたいの?」「結論は?」
- 「もっとちゃんと考えてから(論理立ててから)話しなさい」
- 「そんなことも知らないのか」
口に出さないまでもいかにもいい出しそうな雰囲気を醸し出ている。こうしたオーラが出ている時点で質問や意見を「いただける」はずありません。意見や質問は 自発的に出てくるものではありません。出しやすい環境を作ることにより、「いただく」ものです。この感覚を持ちあわせていないと、片側のコミュニケーション力がいくらあがっても、コミュニケーションは双方向である以上、永遠に問題は解決されません。
私は年間50本以上ミーティングやワークショップのファシリテーションを行っていますが、ファシリテーターとして一番に心がけていることは「誰もが発言をしやすい、変わった意見でも出しやすい環境を作ること」です。発言が出てこなかったら場合、どうしてそうした環境を作ってしまったのかを考えます。仕切る側が明らかにどこかでミスをしている。
先日ある大学で簡単なワークショップを行ったのですが、何故か学生の反応が悪い。終了後に、後ろで見ていたビジネスパートナーに「いつもの大塚さんらしくない。一番始め**と聞いた箇所で、出て来た意見をスッと流してしまったので空気が変わってしまった」と指摘され、「やってしまった」と反省しました。
この威圧オーラ。私もそうですが、本人は全くそんなものを出そうと思っているわけではない。本人は本気で質問や意見を出して欲しいと思っている。無意識にlose-loseな状況を作ってしまっているところに問題の深さがあるように思えます。
もちろんこうした威圧オーラに負けない強いマインドを育てていくのも大切です。ここ数年こうしたスキルを開発するトレーニングを行っていますが、やはり片側のみスキル開発してももう一方も歩み寄らないとバランスが取れない。
先日「ネイティブにこそ英語教育を!」という記事の中で、
「日本人がspeak-upする以上に外国人、特にネイティブはspeak-downするスキルを学ばないといけないのではないか。」
と書きましたが何か共通するものを感じます。意識的に威圧されている方は別として本気に「若い人にもっと意見を出して欲しい」と考えている方は、原因の少なくても半分は自分にあることを認識し、どうやったらもっと意見が出やすい環境が作れるか。人材が掃いて捨てるほどいたいままでの時代と違い、今後人材不足が深刻化するのが目に見えています。だからこそ、トップ層のマインドチェンジが必要なのではないかと強く感じています。
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