ベストな事業計画ではなく、情報共有システムが勝つ

Best Intelligence Wins2003年のイラク戦争。当時米統合特殊作戦コマンド司令官として着任したマククリスタル中将は当初、敵のテロ組織、アルカイダの動きを全く把握できなかったらしい。

PDCAのサイクル(現場や情報機関から情報を吸い上げる → 情報を分析、ターゲットを選定 → 計画を策定 → 計画の実行 → 実行後のレビュー)をどんなに早く回しても、敵の動きは常に一歩先をいっており、突入しても敵は既にいない。逆に奇襲攻撃をかけられたりする。

質問が驚くほど出てくるちょっとした意識の持ち方

質問20代だった頃は、講演や会議に出ても、質問することはまずなかった。そもそも何を聞いたら良いか分からない。大勢の前で何かを聞くのは恥ずかしいし、バカな質問をして後で笑われたくない。

それが30代半ばにある本を読んでから、マインドがガラリと変わり、今では会議や講演を聞きにいった時は、必ず質問するようにしています。

本は「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という自伝。著者のリチャード・ファインマンはアメリカの理科系大学の最高峰といわれるカルフォルニア工科大学(Caltech)の教授で、ノーベル物理学賞を受賞者。

OJT任せの人材育成が企業を滅ぼす

あるラーメン屋でご飯を食べていた時の話。カウンターの向こう側に入ったばかりだとすぐ分かる、人の良さそうな50歳前後の新人店員がいる。その他ベテラン店員が2名。

夜のピーク時だったので、忙しく動き回る2人のベテラン店員に対し、年齢が一回りも上と思われる新人は申し訳なさそうに、何も出来ずに突っ立っている。スープ係なのか、ご飯モノや定食を出した直後にスープだけを出している。

ベテラン社員は忙しさのあまり殺気立つ。立ち位置が邪魔だったら不快な顔をしたり、スープがタイミング良く出てこないと、「ほらスープ!」と苛立ちながら小声でいう。新人はビクビクして、思うように動けない。

「この人1週間も持たないだろうなー」と思って数週間後にまた同じ店に行ってみたら、想像通り、辞めていました。

新人は甘やかせてはダメ。厳しく、苦労して覚えさた方が良い。

このラーメン屋の事例は少し極端かもしれませんが、これこそ日本の人材育成の基本的な考え方のように感じます。

丁寧な人材育成制度を作らず、人材育成はほぼ現場任せ。その大部分をOJTに頼っている。

もちろんOJTが悪いということをいっているのではありません。現場で実際の仕事を通じてスキルがつけられる。これほど効率的なものはない。

ただ多くの日本企業、特に非工場部門(ホワイトカラー)で、このOJTの仕組みがうまく機能しているように思えません。

ただでさえ、年々人が減らされ、疲弊している現場。OJTを担う先輩社員は

  • 今の自分の仕事をまわすことで精一杯。新人に対してOJTを行う時間が十分取れない。
  • 例え時間が取れたとしても、自分自身のOJTで先輩の背中を見ながら、苦労をして仕事を覚えたので、あまり細い指導はしない。
  • いや指導しないのではなく、分かりやすく仕事を教えるというトレーニングを受けていない為、指導できない。

結局、冒頭のラーメン屋さんと同じように、新しく入った社員はビクビクしながら、先輩に気を遣い、OJTが行われていく。

こんな精神状態で、新しいことを学べるのか。ある脳神経科学の研究※によると

恐怖心は、人から心理的なリソース(エネルギー)を大きく奪い、脳のワーキングメモリー(短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力)や新しい情報を処理するところが機能しにくくなる。

と。つまり、恐怖心を抱かせた状態では、その恐怖をどう乗り切るかにエネルギーが費やされ、新しい知識が覚える余裕は生まれないといいます。

「最近の若者は根気が足りない」という声をよく聞きますが、人が余るほどいて、現場に余裕があった数十年前と今では時代が全く違います。

日本人のみならず、これから外国人社員をどんどん採用していかないと人手が足りない状況を考えると、この「甘やかせてはダメ。厳しく、苦労して覚えさた方が良い。」的な考え方では、海外の優秀な人材は日本企業で働こうとまず思わないでしょう。

数ヶ月前に、日本を代表するグローバル企業であるユニクロさんがこんな記事を書かれてしまいました。

Everyone has some form of PTSD’: Former Uniqlo employees describe toxic bullying culture'Everyone has some form of PTSD’: Former Uniqlo employees describe toxic bullying culture
(みんな何らかの心的外傷後ストレス障害を抱えている:ユニクロの元従業員が語る有毒なイジメ文化)

ちょっと調査したところ、少なくてもオーストラリアでは事実から大きく逸れている記事ではなさそうです。もちろんこれは企業文化の話ですが、

「1分で7枚のシャツを畳む方法」まで記載されている、超細分化された巨大な手続き集(SOP)

を既に疲弊している現場でOJTを通じて覚えなければいけない悲鳴。人材育成が現場の店舗で追いついていない現実が大きく伝わってきます。

ではどうしたら良いのか?過去このトピックで色々と記事を書いてきましたが、最近こうした問題の研究が進んだのか、非常に面白い本を何冊か読みましたので、次回以降の記事で紹介していきたいと思います。

※ Richard Boyatzis, "Neuroscience and Leadership: The Promise of Insights," Ivey Business Journal, January/February 2011

心理的安全性のない職場ではイノベーションは起きない

psychological_safety「社内での学び、イノベーション、成長を促す環境を作るには、リーダーはまず、fear (恐怖心)を従業員から取り除くことからはじめなければいけない。」
- Amy C. Edmondson (ハーバード・ビジネス・スクール教授)

もう20年以上も前の話になりますが、銀行員としてキャリアを始めた頃、教育の意味であえてやられていたんでしょうけど、鬼軍曹みたいな先輩がいて、何をしても、とにかく怒る。「何故出来ないのか?」と詰められても、目の前で威圧されては考えなど出てくるわけはない。結局黙って申し訳なさそうなオーラを出し、嵐が過ぎ去るのを待っていました。

人生がチェスではなく、ポーカーである理由

chess_or_poker2Self-serving bias(自己奉仕バイアス)という心理学用語はご存知でしょうか。

全く同じミスでも、他人のミスはその人の判断力や実力不足のせいで起きるが、自分がミスは運が悪かったためと自動的に考えてしまう人間の習性からくる偏見。

2003年、メジャーリーグベースボールのワールドシリーズ第6戦。シカゴ・カブスは3勝2敗とホームゲームで王手を迎えていた。3-0でリードで迎えた8回表で1アウト。相手打者がファールボールを打つ。

学び方研究の第一人者が語る最も効果的な学び方

practice3スポーツにしても芸術にしても、うまくなるかどうかは「才能」で決まると子供の頃からずっと思っていました。しかしこれは違うのではないかという思いを年々強めています。

過去教える側のスキルに問題があるという記事をいくつか書いて来ましたが、今回は学ぶ側に視点を当てて、より効果的にスキルを習得する為にどうしたら良いかについて書きたいと思います。

何らかの分野で頂点を極めた人はどのようにしてそのスキルを高めて行ったのか。

ダメ出しではなく「良い出し」のススメ

positive reinforcement「良い出し(positive reinforcement)」という言葉はご存知でしょうか。「ダメ出し(negative reinforcement)」は部下や生徒などが望ましくない行動を取った瞬間にそれを指摘し、改めさせるために行うものに対して、「良い出し」は望ましい行動を取った瞬間にそれを指摘し、継続的にその望ましい行動を促すために行うもの。

ちょっとイメージしづらいと思うので具体的に書くと、「ダメ出し」は「ほら、そうやったらダメでしょう。こうしなさい!」と注意をするのに対し、「良い出し」は「今の**(具体的な行動)、とてもいいね!その調子で続けてね。」という伝える行為。

相手(自分)をコミュ障と思う前に考えるべきこと

communication_disorders私は企業でグローバル・コミュニケーション研修をしていますので、若手と話す機会が多いのですが、「実は私はコミュ障(コミュニケーション力に障害がある人)なんです」と打ち明けられるケースが少なくありません。

仕事以外でも打ち明けられるケースもあるところをみると、最近自分のことをコミュ障と思っている若い人が増えているような気がします。

しかし実際にそういう人と話してみると、問題なく普通にコミュニケーションをとれている。

良い謝り方、悪い謝り方

apology謝罪学というのはご存知でしょうか。いるんですね。こういった面白いことを研究している人が。先日読み終わった、Why Won’t You Apologize?: Healing Big Betrayals and Everyday Hurts という精神科医であるHarriet Lerner氏が書いた本が面白い。

Lerner氏はまずよくありがちなダメな謝り方について具体的に解説します。その代表例を3つあげると、

顧客体験を上げる前に従業員エンゲージメントを上げよう

engaged_employee従業員エンゲージメント(Employee Engagement)という言葉をご存知でしょうか。米Forbes誌によると

従業員エンゲージメントとは従業員が企業やそのゴールに対して抱いている心理的なコミットメント

と定義しています。この従業員エンゲージメントの指標。ここ数年、外資系グローバル企業の中でhot topicになっており、従業員エンゲージメントスコアが前年に比べて大きく落ちた部署や、他の国に比べて低く出た場合、その原因を探って欲しいと、私のような外部ファシリテーターを雇い、ワークショップを行い、その原因を究明し、このスコアをいかにあげていくべきか、トップマネージメントは真剣に考えています。